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2008/11/27 (Thu) ある日の風景

「よく寝た、気がする・・・」

朝の日差し。見慣れた、何度も昇りは下がる太陽。
その太陽の暖かい、今の僕にとってはうとましい日差しを浴びせられ起きたわけだ。

「静かだな・・・」

僕が住んでいるのは小さな村だ。村の人口は100人ジャスト。
静かなのはいつものことなのだが。活気はあるはずなのだ。
なのにそれがない、言ったいいどーいうことだああ、思い出した。

「昨日はお祭騒ぎで肉食って酒飲んででみんな疲れ果ててるんだった」

この村では僕が一番早く起きる。僕と同じくらいに起きる人は5~6人くらい。
その一人が僕の恋人だ。だが彼女の姿が確認できない。

「僕より早く起きるなんて一年に一度くらいなんだけどなー」

僕と彼女は同棲している。一年目くらいになる。子供はいないが、欲しい。
僕たちの家は村の中では離れている。山の中にあるのだ、景色は最高。

ガタンッ。

物音が聞こえた。寝室を抜けてのリビングのほうから聞こえた気がする。

「彼女かな?」

そう云ってベッドから身を離す。肌寒いが我慢できないほどでない。
愛しい彼女でもみて温まるとしよう。
寝室を出る、廊下に出る、廊下を歩く、突き当たりで曲がる、リビングのドアを掴む、開ける。

「ウアァァァ」

なんだろう?機嫌でも悪いのかな、変な呻き声あげて。

「おはよう、調子はどうだい?」
「ウウ・・・アアアアア」

なんだろう、少し腐ってるような臭いがするんだけど、生ゴミの臭いかな?

「機嫌が悪いの?それとも調子?」
「アアアアアアアアアッ」

様子がおかしいな。様子がおかしいって思うんだけど、どうしてだろう。
近づけない。

「アガガアアァァ」

・・・赤い点が床に無数に散らばっている。星座がいくつか作れそうだ。

「アッァァァア」

人の声じゃない。人が発する音じゃない。そう例えるなら。

「アアアアアアアアアアアア」
「・・・ゾンビって」

振り返った彼女を見る。
まさに生気のない人そのものだ。
空も真っ青なブルーの瞳も、しなやかな肢体も、綺麗な白い肌も、ちょっぴりHな露出もない。
あるのは。
生気のない白目を剥いた瞳しか、ボロボロな肢体しか、青白い血まみれの肌しか、露出しているのは内臓でしかない。

「さすがに、冗談が過ぎるよ」
「アアアアアアアアアアアアアァアアアアアァァァ!」

愛しい彼女の激昂の声なら答える事ができたけど、今の彼女には答えられない。
僕は後ろを向いて走り出す。変わり果てた恋人に背を向けて走り出す。
廊下を駆け抜ける。脳にも危険だという意思が駆け抜ける。それが爆ぜぬように僕は駆け抜ける。

見慣れた玄関を思い切り開ける。壊れてもいいかと思うほどに、叩きつけるように。
外に出た、助かった、と思いたかった。いや事実、一瞬助かったと思った。
でも、それ以上一歩も足が動かない、動いてくれない。
恋人の姿を模った、絶望と死が追ってきているのに。近づいているのに。
動かない。動かない。動かない。動かない。動かない。

「おいおい、自ら死神に首を差し出すような男じゃないよ、僕は」
『ァァァァァァ』

家の中から死が声を荒げている。見たくないものだ。

「はぁ、わかったわかったよ。引き返すのが運命、とでもいうのか」
「ァァァァァァァアアアアアアアア」

さっきよりも確実に肉声が強くなっている。それほど死が歩み寄ってきてる。
笑えない冗談だ。この状況も、なぜか嫌に冷静な自分も。今自分が考えている事も。

「さて、戻りますか」
「アアアアアア!アアアア!」
「見つかる前に、うん、そうしよう」

勿論、玄関から戻ったら鉢合わせてそこで死亡フラグビンビンだ。
なので家の裏側にあるリビングの窓から入る事にする。
一気に走り出す。とりあえず死なないために。
家の横手を走り抜けて、リビングの窓に着く。イエイ余裕!

バリーンッ パラパラ

はい割ったー。修理代いくらくらいかなー考えたくもない。
さて、呼びますか。

「おい!僕はこっちだ!リビングにいるぞ!」

数秒、時が止まった。気がする。だがソレも打ち破られる。

ベタッ ベタッ ア・・アア・・・ウゥ

足音と呻き声。時を重ねるごとに比例して大きくなる聞きたくもない音二つ。
正直怖い。本気で逃げ出して普通の生活に戻りたい。
でもだめなんだ、だって。

「アアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
「足が止まっちゃうんだもんな」

確かに果てた恋人。だが微かに面影がある。
切れ切れになった衣服は昨日の晩着ていたものだし、腐った臭いのなかにあるかぎなれた彼女の匂いもある。
まぎれもなく彼女は彼女なのだ、腐だとしても彼女でしかないのだ。

「ウウ・・・アアアアア・・・」
「どうせお腹が空いてるんだろう、君は朝よく食べるからね」

聞いてはいないだろう。そうだとしてもだ。
喋りかけることしかできない。残された愛情表現はそれともう一つしかない。
そして今から僕に残された最後の愛情表現をしようと思う。

「やっぱり気分が悪いんだね」
一歩。
「そんなに肌がカサカサになってたら美人も台無しだ」
一歩。
「それと露出はあまりするものじゃない。嫉妬してしまうだろう?」
一歩。
「今日は一日どう過ごそうか、散歩でもしようか」
一歩。
「街のほうまで行って何か買おうか、ショッピングデート、は古いか」
一歩。
「そういえば君は何か食べたいものがあるって言ってたね」
一歩。
「確か・・・何かのデザートだったね。プリンみたいな感じの」
一歩。
「是非作ってあげたいんだけど生憎卵も牛乳もないんだ」
一歩。
「今日はお肉さ。それも君が大好きだったね」
一歩。
「トッピングに塩水をつけといたからね」
一歩。

「さぁお食べ」

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ピクシブなんかでも同じく流ぬこで書いています。
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