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「ん・・・朝?」

どうして私は寝室にいないんだろう。いつもは寝ているはずなのに。
ここは廊下で、ベッドもなにもない。疲れてここで寝てしまったのかな?

「そんなはずは、ないと思うのだけれど」

彼ならちゃんと寝室まで運んでくれるだろうし、たとえ寝てたとしても起こしてくれると思うんだけどなー。昨日はお祭騒ぎだったから彼も疲れていたのかも。

「彼はリビングにいるのかな?・・・ん?」

何かが腐ったような臭いがする、玄関のほうからね。外に生ゴミでも置いてたかな?
そうだったら大変だし、とりにいかなきゃ。
私は玄関まで歩き出す。ものの数秒で着いてしまった。そして開ける。

「臭い・・・でも生ゴミなんてないわね」

猛烈に臭う腐臭。起きぬけの朝には少々インパクトが強すぎる気がする。
この腐臭はどうやら村のほうから漂ってくるようだわ。
少し見てみよう。
玄関から数十メートル先の場所から村を見ることにした。
そこからなら大体の村の様子がわかるから。
私は歩く。歩くごとに腐臭は強くなる。着く。見る。

「あら、皆起きてるなんて珍しい」

村人がわらわらと集まっている。だがなにかおかしい。
服がボロボロで、肌の色も青白い。生きていないようだ。
その村人が集まっている横にバイクが置いてある。

「あれは、この村に郵便を届けてくれるおじさんが乗ってくるバイクだわ」

でもおじさんの姿は見当たらない。いつもなら元気に村の皆に配達して回っているのに。
私は更に村を見渡す。でもやっぱりおじさんはいない。いるのは一箇所に集まる村の人達だけ。

『たすけ・・・ああ・・』

今誰かが叫んだような・・・。気のせいかな。

「とりあえず村の皆に挨拶しなきゃ。みんなーおは」
「あああああああああ!やめえええええああああああああ!」

体が硬直した。まさしく言葉をなくした。私の声を掻き消すように叫びは木霊した。
それと同時に村人が集まっている地点から一つの人影が這いずりでるのがわかった。

「おじさん?どうしてあんな地面を這いつくばって逃げているのかしら」

おじさんはいつもの穏やかな声とは似ても似つかない、獣のような叫び声を撒き散らしながらバイクへと這いずり向かう。
村の皆と喧嘩でもしてしまったのかな?

「来るなっ!寄るなっ!近づくんじゃない!」
「酷い云い様ね、なにもそこまで言わなくても・・・」

おじさんはバイクまで辿り着くと急いで体を起こして座席にまたがる。
必死な顔でエンジンをつけようとしているが、どうやらつかないらしい。
必死な顔は既に必死を超え、鬼の形相とも云えるような顔になっていた。

「なんでだっ!こんなときに!」

こんなときに?喧嘩くらいで大騒ぎしすぎじゃないかな。
そりゃー痛いかもだけどそれを乗り越えて友情とは深めていけるのに。
おじさんは喧嘩とかしとかとないのかもしれないわ。

「くそお・・・・なんでこんな、こんなことに」

こんなこと?なにそれさっぱり見当もつかな・・・あれ?
私、なんでこんな肌が青白いの?

「やめてくれ・・・やめてくれよお・・・」

おじさんのほうへと目をやる。村人達に囲まれている。あれじゃ逃げられない。

「大人しく喧嘩しなさい、おじさん」

でも喧嘩じゃなかった。始まったのは喧嘩なんかじゃなかった。
食事だった。



「なんでみんなあんなことを・・・」

私は自分の家に逃げ帰ってきた。見た光景が信じられなくて。
あまりにも恐ろしい、現実離れした現実を見た。私はそれを見続ける事ができなかった。

取り囲まれ逃げ場がなくなったおじさんは必死に抵抗していた。
でも抵抗ができていたのもほんの数十秒程度のものだった。
一人の村人に動きを封じられてしまっておじさんは酷く焦っていた。
腕を振り、足をジタバタさせ、腰をおもいっきり捻ったりしていた。
だがそれも無駄に終わった。村人が一人腕に噛み付いたのだ。
私は「普通いきなり噛む?」と思った。喧嘩でも噛み付きというものはなかなか使わないものだ。
よほど怒っているのだろう。そんな村人達を見て私は少し怖くなった。
でも怖さはさらに増していった。

一人の村人が腕の肉を噛み千切った。
私は悲鳴を口の中で漏らした。おじさんは盛大に悲鳴をあげた。
また違う一人の村人が足の肉を噛み千切った。
私は声をなくした。おじさんはまた盛大に悲鳴をあげた。
また違う一人の村人が耳を食いちぎった。
私は膝をついた。おじさんは普通に悲鳴をあげた。
また違う一人の村人が腹にかぶりついた。
私は頭をかかえた。おじさんは呻き声を漏らした。気がした。
また違う一人の村人が内臓を食いちぎった。
私はおじさんを見た。おじさんは、私を見つけた。

目があった。おじさんと目があった。戦慄した。

( タ ス ケ テ )

そう云っていた。おじさんは絶対にそう私にすがっていた。
それが恐ろしくて恐ろしくて恐ろしくて、怖くて怖くて怖くて。
私は逃げた。
村人から、村から、おじさんから。
おじさんの最後の懇願から。
私は背を向けて、逃げた。

「どうして、こんなことに」

まだ怖くて堪らない。村人達の行動を思い出すだけで、村人達の顔を思い出すだけで、おじさんのあの時の顔を思いだすだけで。

「どうして・・・」

何故、起きたばかりでこんな目に遭わなきゃいけないの?
・・・起きたばかり?なにか、それは違う気がする。
私は起きてて、なにかを、していた気がする。
それは、なに?
2008.11.30 Sun l 自作小説 l COM(0) TB(0) l top ▲

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