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「いやそれはだめだろう」

「急になんだい?」

いやなんだか突っ込まなきゃいけない気がしたんだ。
心がそう命じたんだ。俺の心が、俺の心に…。

「毎度の事だけど、意味がわからないね」

「安心しなさい。当の本人も手がつけられてないから」

それはいくらなんでも…。なんて顔つきでため息をついてるこの美少女を小突きたい。
何故ため息までそこまで可愛くつくのかと。小突くだけにつくのかと。
あれ?俺うまいこと言った?

「そんなにうまくもないと思うけど、君にしたら上出来だね。大変よく出来ました」

そう言ってそいつは俺の掌に赤ペンで花丸を書いてくれた。
俺とて普通の花丸だったらなにしやがんだこのボケタラナスとでも言うのだがいかんせんこの花丸は食べられそうなくらいにうまい。うまそうなほどうまい。

「よし、お前は先生になれ。小学校の先生がいい」

「へっ?なにを急に?」

「この花丸は有効活用するべきだ。こんなところでしか咲けないのではもったいない」

「花丸くらいで君はまた」

「いや花丸の存在はでかい。とくに小学生にとっちゃ二重丸なんぞ花丸に比べればただの曲線だ」

「いやあのね…。それに僕にだって夢がある」

むっ?聞いたことないな。こいつとはいつも目先の事だとか下らない事しか話さないから聞いたことないなんて当たり前なのだが。
この花丸先生の道を捨ててでもやることが他にあるというのか!

「うーん、多分僕限定の夢だけどね」

「ほう、そうなのか」

「なにかわかる?」

「俺の嫁」

「正解」

「なら嫁になって先生をやればいい」

「…」

赤面中赤面中。プシュー。プスプスプス。
なにをこいつは撃沈している。嫁になろうが先生にはなれるじゃないかまったく。

「なんならいまから籍いれるか?かまわないぞ?」

「いや…今のはずるいって、ノーカン…ノーカンで…」

うわごとのようにぶつぶつ呟いている。なんだろう無駄なノリついでにこいつに勝ったらしい。
勝った気がしないのがいまいちだがまあいいか。

「君はなに…?花丸そんなに好きなの?」

「いいや別に。全部ノリだが」

「そう。なら嫁どうこうも…」

「結婚はまだわからんが、お前のことは好きだぞ」

「…もういい。これ以上は私が耐えられない」

「なんだ。好きになったと言ったのに。言い損か」

それっきり会話はなくなった。あいつは突っ伏したまま。俺はアイスティーにガムシロ二個を投入してストローでちゅうちゅう吸っている。
ただその静寂の中でただ一度だけ、かすかに
”ありがとう、私も”
と聞こえたような気がするのだが真相は定かではない。
なにせ聞こえたような気がしたのであいつに話しかけようとしたら急に席を立ち小走りに店から出て行ってしまったからだ。
いつもは店の払いはあいつの言い分で
「女に奢らなきゃ男じゃない、みたいなのはあまり好きでないから自分の分は自分で払うよ」
とか言うのでそうすることになっていたのだが。
この状況では無論そんなことは出来ず、ただただ俺は店の人に自分の勘定とあいつの分の勘定を払うことになったのは言うまでもない。
2009.02.13 Fri l 自作小説 l top ▲
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