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太陽の日が入らない建物で喧騒が一つ。

「おはようございます!」

「…おはよう」

元気よく優樹に挨拶する一人の男。
山崎太一朗。
それが喧騒の元だ。

「優樹さん?大丈夫ですか?」

「…大丈夫ってなにが?」

「いえ、あまり元気そうにないように見えたのでなにかあったのかと思って」

「大丈夫…太一朗君があまりに元気だから呆然としただけ」

それはすいませんでした!とまた一段と元気に謝罪した。
それをみた優樹はクスリと笑ってしまう。この三年間で笑ったことなどそう多くはない彼女が笑った。

「…なにかおかしかったですか?」

「いや、ううん、なんでもないよ」

謝罪に対して笑いで返すのは失礼だと気づきすぐに優樹は笑うのやめる。
もとより大笑いと言うほどでもないのだからすぐに笑うことは止められた。
だが優樹の顔は未だ笑顔のままだ。
三年間、無気力な顔しかしていなかった優樹が笑顔なのだ、一大事だろう。
だが太一朗は自分のやったことがどれだけ大したことなのか、知る由もない。
それでいいのだ。
日常とは、こんなにもささやかなもので、こんなにも暖かいのだ。
優樹にだってその幸せを掴む権利はあり、いままさにその幸せを感じているのだ。
幸せを無意識のうちに送っている太一郎、そしてその幸せを受け取っている優樹自身も、それを認識していない。ささやかな幸せは認識されないことが欠点だ。
それでもいい。この二人はそれくらいで丁度いい。
2009.05.10 Sun l 自作小説 l top ▲
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