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「もう確実と言っていいほどタイトル考える気ないだろう」

「久々なのに、そんなひどいものなのか。君にしか感じられない人は」

「ああ、困ったもんだ」

季節は、春の三分の二くらいなところで、夏もすぐそこまで迫ってきている。
それを証明するかのようにここ最近は蒸し暑い。
せめてカラっとした暑さだったらと何度願ったことか、それを思い出す。
…二~三回ぐらいか。

「その程度願ったくらいじゃ神様は振り向いてはくれないさ」

「なぜそうわかる?」

「勿論、理由なんてないんだけど」

「そういうのは俺の専売特許なんだが、そこんとこどう思う?」

「似てきたんじゃないかな?君に」

春の突風とは似つきもしない、爽やかな笑顔で笑いながらそう言う。
自転車でも漕ぎたくなるのは何故だろう?仕様か。

気づけば、お互いに大学に入ってから大分経つ。
確かに、まだまだ卒業までには時間がある。
だが、仮に大学を卒業したら、お互いに何をしているのだろうか?
いつまでもこんな風に喋っていられ続けるだろうか?
それとも時代の波に流されるのだろうか?
いつか別れの日が来るのだろうか?
そんな日が、来てしまうのだろうか?

「…なあ」

「なんだい?」

「…」

「話しかけておいてだんまりは感心しないな」

「…ああ、すまん。なんでもなかった」

「ほう、珍しく真面目なトーンで話しかけてきたからなんだろうとドキドキしていたんだがね」

そう言って笑う。
いつもそうだった。
どんなに急がしそうでも、辛そうでも。
俺の前ではいつも笑顔を見せてくれた。
俺にそんなことはできるか?いいや、残念ながらできない。

ああ、そうなのか。ここ最近のもやもやの原因がわかった。
なんだかんだで俺も男であり人間であり青春野郎なんだろう。
自分で気づけた分、ギャルゲの主人公よりたちはいいんじゃないだろうか。

「それにしても、今日の君は不思議だよ」

「どうしてだ?」

「まったく心が読めなくてね、正直な話かなり驚いてる」

「それはよかった」

それは何故?と言いたそうな顔でこちらを見てくる。
思い切って言ってしまおうか?ぶちまけてしまおうか?
あの夜の公園での一幕をもう一度始めからやってみようか?
…やめておこう。まだ、なんだ。

「気にするな」

「そうかい?今日の君はなんだか隠し事をしているような感じが…」

そう言いつづけようとするあいつの手を握った。

「なっ!ちょっ、なにしてるの君」

「…ジョークだ!」

そう叫んで席を立つ。勿論手を握ったまま。
周りの人たちが俺たちに注目する。だが、今はそんなことは気にならない。

「どうしたってのよ!恥ずかしいって!」

「今だけは許してくれ」

「ええっー!?」

困惑して、パニくりまくるあいつ。そんな時どうしたらいいか。決まってる。
あいつはいつも笑顔だった。ならそれに答えるまでだ。

「今日は一日デートとしゃれこむぞ!」

そう言って自分でできる最高の笑顔をあいつに向けた。
せめてものお礼であり、せめてもの返しであり、せめてもの抵抗だ。

「ええ、あ、あうあう…」

しどろもどろなあいつの手を握ったまま、そのまま喫茶店を出る。
なにか忘れてる気がするが、多分気のせいだろう。
さあ行くか!


「…まったく、青春するのはいいですが、御代は払ってもらわないといけませんのですが、ね」

マスターはまだ御代をもらっていない。それがため息の原因だった。

「たくっ、仕方ないな」「マスター俺たちが払うよ」「ええもんみせてもろたわ、ハッハッハ!」

「いえ、ですがそれは…」

「いいっていいって!あの子達にこの喫茶店にいてもらわんと少し物足らんからな!」

そう言って周りにいた二~三人の方たちそれぞれがお金を出しあって私に手渡す。
半ば強引に近かった。経営者はこういったことを許してはいけないのかも知れない。が。
私もまた、あの二人に怒ることはしたくない。
そしてなによりあの二人にはまだまだこの喫茶店にいてほしいのだ。

「…すいません。では、ありがたく頂戴します」

お金を受け取ると、お客さんたちは満足そうに自分がいた席へと戻る。
私の店にはこんな素敵な人たちが集まっていたのか。そう思い胸が熱くなった。
なら私にできる精一杯をしよう。ここは喫茶店で、私はマスターだ。
たまには、コーヒーの無料サービスぐらいしよう。
今日は苦いのではなく、クリーミーに仕上げたカフェオレにしよう。

なんならいっそのこと、このカフェオレの名前を、あの二人の名前にしてしまおうか。
2009.07.10 Fri l 自作小説 l top ▲
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