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2009/10/11 (Sun) 兄弟

僕には兄さんがいる。あまり喋らない兄さんがいる。
でもそれは現実の世界での話し。
ネットの中での兄さんは流暢に話す。
だから僕の知っている兄さんは、現実世界よりもネットの中でのほうが勇ましい。
ネットでの兄さんは皆から頼りにされている。
戦いにも強いし、貴重なアイテムも持っている。
なによりゲームに詳しいので、何をどうしたらいいかよく聞かれる。
僕は程ほどに強く、程ほどに貴重なアイテムを持っている。
そんな一般的なプレイヤーだ。
だから兄さんは憧れの対象だった。いつか兄さんのようになりたいと思っていた。
そんなある日、僕はちゃらちゃらした人に絡まれた。
言っている言葉が雑すぎて何が言いたいのかよくわからないが、雰囲気から察するにお金を出せと言っているのだろう。
僕がお金は今持っていませんと言っても聞いてくれず、金を出せとしか言わない。
僕自ら強く言い出すことも出来ないのがいけないのかもしれないけど、どうすることもできずにただただ時間が過ぎていった。
するとそこに兄さんの姿が見えた。兄さんも僕が絡まれているとわかったように見えた。
でも助けてくれることはなかった。そのままどこぞへと言ってしまった。
当たり前、それが当たり前だ。自らいざこざに巻き込まれるような真似は人間誰でもしたくない。
兄さんはネットの世界の中では強い。でも現実は違う。
仕方がないのだ。
時間は過ぎていってもこの絡んでくる人は立ち去ってはくれなかった。
もういい加減にうんざりしている。人間慣れるとこんなものだ。
そんなふうに思っていると

「いい加減にしろ!」

そんな声が聞こえた。その声は久々に聞いたものだった。
振り返ればそこにはどこから買ってきたかもわからないビニール傘を構えた兄さんがいた。
なけなしのお金と勇気を使った兄さんがそこにいた。
僕に絡んでいた人はすぐにそちらを向き、兄さんにターゲットを変更しようとしていた。
そこに屈強な大人の方々が現れた。土木関係の仕事をしている人たちで、こちらのほうが十分に怖かった。

「やい兄ちゃん、あんまり餓鬼みてーなことしてると潰すぞ」

その鶴の一声でその絡んできた人は去っていった。正直、僕も兄さんも震え上がっていたと思う。
そんな土木の人が兄さんに話しかける。

「兄ちゃんは立派だったぜ、これからもこんなふうにな!」

最後に特大の笑い声を残してどこかへ行ってしまった。
そこに残った僕と兄さんは、久々に、実に久しぶりに二人で家へ帰った。
それ以降僕と兄さんは現実世界でもぼちぼち話すようになった。
母は何かあったのかと僕に問いただしてきたが僕は何も言わなかった。
言ってもどうせ僕の心配をするだけの人だ。兄さんがやったことについて何とも思わない。
だから僕は何も答えなかった。
兄さんは、ネットでも現実でも僕の憧れとなった。
これは余談だが、僕の部屋にはあのとき兄さんが使った傘が置いてある。
いつか、僕もこの傘を使って困っている人の力になれたらと思っていた。
その置いてある傘を見るたびに兄さんは苦笑いをしながら、こんなもの捨てろと言うけど、僕はずっとずっとその傘を大切に部屋に置いた。
その傘をみるたびに、兄さんの勇姿がよみがえる。

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流ぬこ

Author:流ぬこ
自個偽無、候。
書いたり書いたりしている流ぬこです。
ピクシブなんかでも同じく流ぬこで書いています。
はじめの一歩を見るとオズマ戦でも小橋戦でもどの戦いでも泣けます。はい。

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