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僕は昔イジメられていた。
小さいころから内向的で、人見知りが激しい僕なんかはそうなって当然だったのかもしれない。
小学生高学年から始まり、高校生まで続いた。
でもこのままじゃいけないと思ったから、高校を卒業してからは自分から変わろうと思った。
大学に入って、僕は積極的に友達を作ろうと尽力した。その結果、少ないけれども親友と呼べる人も出来た。
その親友に教えてもらった。
お前は頭も良くて、教え方も上手だから教師に向いてる、と。
その言葉を鵜呑みにして僕は教師になった。確かに生徒からの評判は上々みたいだ。ただ一つ。
学校に来るたびに過去のトラウマが蘇りそうになる。
最初は気にしないようにしていたが、何年も通っていると苦痛のなにものでもなくなっていた。
そんな苦痛に悶えていたある日。
「先生は、どうしてそんなに苦しそうなの?」
そう、とある女生徒に聞かれた。
心の中を見透かされて僕は心底驚いた。本当に心臓が口から飛び出るかと思った。
さほど見覚えがあるわけでないが、授業のときに何度か見た気がする。
「どうしてそんなに苦しそうなの?」
また聞かれて、僕の内心は穏やかじゃなかったけれど
「苦しくなんてないよ」
それだけ言い返した。でも女生徒は首を横に振る。僕は怖くなった。
「苦しい、苦しい、苦しいよね?」
一刻もこの子から離れたい、でも学校内にいたらいつかはこの子と会ってしまう。
そしたらこの大きな瞳で、無機質な視線で見られる。そう思うと僕はたまらなくなった。
だから僕はその子を押した。後ろが階段だから押した。
これでようやく一時の不安から解放される、と思いつつなんてことをしてしまったんだという後悔の念も湧いてきた。
でも僕はその場から離れたかったから早歩きでその場を後にしようとした。
動けなかった。何かが僕の服の裾を掴んでいる。
動けなかった。二重の意味で。
「苦しいってこういうこと?」
見て、と言わんばかりに何かが僕の裾を引っ張ってくる。くいくいっと。
あるはずのない事態と、再来した不安に僕の心は押しつぶされそうになる。
でも見なければ正体不明の物体と不安に押しつぶされそうになる。結局八方塞だった。
だからゆっくり、本当にゆっくりと振り向いた。
そこに見たのは
「苦しいって、こういうこと?」
そう尋ねてくる、首が九十度横に折れ曲がっている先ほどの女生徒だった。
2009.12.26 Sat l 自作小説 l COM(0) l top ▲

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