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心がピュアじゃないと空白に見える場所があります。仕様です。
以下ss。
「…遅い」

イライラしながらポケットから携帯を取り出す。
時間を確認すればすでに待ち合わせの時刻から15分は経過している。
額の青筋を制御しながら電話をかけようと、したところに彼がきた。

「ハア…ハア…」

「遺言は?」

「す、すいませんでした…」

「そう」

携帯をしまった少女はその後、華麗に右キックを彼のわき腹に打ち込んだ。


「あたた、本当にごめんな」

「天下のアイドルを待たせるなんていい度胸よね」

「言い訳はしません、ここから挽回します」

「それは名誉を?それとも汚名を?」

「前者で」

「そう、ただ私の好感度ゲージは今最低よ?なんなら帰っても仕方ないくらいに」

「う、なんとか引き止めてみせる努力を…」

情けない男と憤慨する少女。どうもこうもない。
起こってはならなかった過程があり、それに対する結果があるだけだった。
要はデートに遅刻したのだ。

「まだ暖かかったとはいえ、女の子をこの冬の時期に棒立ちさせるとはね」

「うぐ」

「それに今日の約束はそっちからじゃなかった?とんだご身分よね?」

「はぐ…」

「そもそも社会に出てる大人が時間厳守もできないってどうなの?」

「ひぎぃ」

「…まあいいわ。嫌味はこれくらいにしとく」

「いや、本当にすまなかった」

「謝るくらいなら最初からやらないの」

「…はい」

ちょっとした重たさを持った空気がいたたまれない。
その空気の中不意に少女が席を立つ。

「ほら、せっかくのデートなんだから。さっさと行くとこ行きましょ」

「…おう!まかせとけ!」

「つまらないプランだったら許さないからね」

「正直自信があまりないが、俺なりのプランで伊織を楽しませるよ」

「そこらの男がやるようなプランだったらはったおしてるわ」

「ええ…自分なりでよかったー…」

「それじゃ行きましょう、プロ…」

「待った!」

まるで異議を申し立てた弁護人のように威勢良くそう言い放った男。
周りの人が見ているが恐らく彼にはそれがまだわかっていないだろう・

「な、なによ?」

「一応デートなので、プロデューサー禁止な」

「それじゃあ、なんて呼べばいいのよ?」

「名前か苗字だろう常考」

「わ、私があんたの名前を?」

「あー嫌ならプロデューサーでもいいけど。遅刻してるしそこは伊織の自由で」

この男はいつもこうだ。
そうしろと言わんばかりにものを言った後にでもやっぱり自由に、卑怯である。
結局今回も、自分がどうしたいかで問われている。それに答えるのがどれだけ恥ずかしいか。
だがそれでも。それに真っ向から対峙する少女。
厳密に言えば対峙できるようになった、だが。

「わ、わかったわよ」

「別に無理することないからな?」

「うううるさい!別に、むむりなんてないんだからっ…」

「そうか?ならいいけど。それじゃ行こうか、伊織」

差し出される手。どこぞの変哲のない手。
その手が少女にとってはどこまでも頼もしく見えるのだ。
そんな手に、自分の手を重ねて、少女は言う。

「ちゃちゃんとエスコートしてよね、―――   っ」

おう、と返事をした彼が笑い、水瀬伊織も笑った。
2010.01.31 Sun l 自作小説 l COM(0) l top ▲

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