「それじゃ行ってきな」

「はいっ!がんばってきまーす!」

「おう」

両手を振り、さらには跳ねながらプロデューサーから離れるやよい。
そこへ。

「あら、プロデューサー殿ではないですか」

「その声は、我らがりっちゃんじゃないかっ!」

「なんです?それ」

「つまりリッチャンハカワイイデスヨってことです」

「わけわかんないんですけど」

「ですよね」

「あんまりわけわからないと私がプロデューサーになっちゃいますよ?」

「勘弁してください、自分の居場所がなくなるので何卒ご容赦を…」

「あはっ、よろしい」

「まあなりたいっていうなら別にいいけどな」

「いえいえ、アイドルとしてプロデューサーの手腕を見て盗んでおきます」

「誰の?」

「今目の前にいるプロデューサー殿ですけど」

「俺の?そんな大した手腕をもった覚えは…」

「ある、でしょう?」

「…ありましぇん、先に言われると言い辛いです」

「そんな苦い経験をしたプロデューサーに、はいこれ」

「まさか、チョコか!」

「ご名答です、今年はなによりですね」

「へっ?」

「なんでもないです。それじゃ私もこれからここで仕事ですから」

「おーやけに板チョコに近い…ってまんま板チョコだ!」

「一応手作りですから」

「じゃなんで板なの?」

「…なんとなくです。それじゃ私行きますから」

「了解、これは美味しくいただくからな!がんばってるとは思うが、がんばってくれ!」

「はいはい」

そそくさとその場を後にする律子。
彼女が思うこと。それは。

「どんな形もそれっぽく受け取られるかと思って、板チョコにいきついた、なんて言えないじゃない…」

事務員さんはなかなか難儀しているようです。
2010.02.14 Sun l 自作小説 l COM(0) l top ▲

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