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2010/03/12 (Fri) ある物語

老人曰く。

それは昔の話。
あるところに男がいました。
その男は強く、誰にも負けぬほど屈強で、正義感に溢れるものでした。
その強い正義感からあらゆる人を救うと誓い旅に出たのです。
男の強さは一気に世界に広まりました。
あるところでは刀一振りで竜の首を断った、と。
またあるところでは体一つでゴーレムの体を粉々にした、と。
別のあるところでは万のゴブリンを一歩も動かずに倒しきった、と。
彼の噂は絶えることはなく、それはつまり彼が絶えず誰かを守っているということでした。
その後英雄と謳われた彼ですが、突然死んでしまったそうです。
その顔はとても英雄のものではなく絶望に苦しんでいたそうな。

老人はそう語り終えました。さらにこう付け加えました。

なぜ彼は絶望し死んだのか。
それは彼が何かを守れなかったから。
それは何か。

この問いに答えられたものには永劫暮らせる金をやると老人は言いました。
しかし老人のこの問いに幾人ものひとが答えましたが一人として答えられたものはいません。
娘、最愛の人、無二の親友、百年来の知己、両親。
どれも違うと老人は言いました。
いつしかあの老人は答えなど用意していないのではないかと噂になり、誰もその老人に近づかなくなりました。

ある日旅の用心棒が訪れ、老人にその話を聞きました。
すると用心棒はこう答えました。

きっとそれは自分を守れなかったんじゃないか、と。

なぜそう?と老人は尋ねました。
用心棒は答えました。

きっと自分の命は二の次、それくらいに軽く考えていたら取り返しの付かないところまで自分が追い込まれていたんだろう。そこでようやく知ったんだ。自分一人守れない奴に、人は救えない。本当の意味で、と。
自分のような用心棒は自分が一番だからこれくらいわかるさ、と。

ああそうかと老人は呟いたあとに用心棒にありがとうと言い、大金を渡し去っていきました。
その顔は、話に聞く英雄とは違い清々しい顔だったそうな。

自作小説 |


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流ぬこ

Author:流ぬこ
自個偽無、候。
書いたり書いたりしている流ぬこです。
ピクシブなんかでも同じく流ぬこで書いています。
はじめの一歩を見るとオズマ戦でも小橋戦でもどの戦いでも泣けます。はい。

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