たまに書きたくなるシリーズです。追記は短文の、小説でしょうか。
「…くそうっ、やってらんね」

持っていたコントローラーを投げた。
それから僕の動かしていたキャラクターは動かなくなった。
他の人に滅多打ちにやられていい的だ。
このキャラは僕がいなければ何もできない、そう思うとざまあみろと思えた。
僕みたいな無職で、社会の屑にいいなりにされるとは情けないものだ。
でもそんなことを考えてる僕のほうが何倍も情けなくてたちが悪くて。
それでも彼は頑なに動かずひたすらに的になっていた。
よく考えてみたら彼と僕は一緒みたいなものだ。
人のいいなりになって生きるしかない、そこに自分の意思なんていらない。
僕だってこれまでの人生ほとんどいいなりに従って生きてきた。
彼だって僕が操作しなきゃ何も出来ない。
ほら、一緒じゃないか。
…でも決定的に違うことがある。
僕には逃げることができて、彼にはできない。
僕は逃げることを考えられて、それを実行できる。
彼は逃げることなど出来ず、何も考えることはできない。
僕は彼になりたい。一つのプログラムで何も考えずにいたい。
なら彼は逆にそう思うのか?彼は僕みたく、自分で考えて行動したいと思うのだろうか。
我ながらバカな事を考えている。それでも。
この辛い現実から逃げられるのなら、僕は彼のようになりたい。
僕はコントローラーを握った。
彼に憧れる気持ちからくものからか。
ただ一時的にも現実から逃げたいだけからか。
僕はコントローラーを、握った。
2010.05.08 Sat l 自作小説 l COM(0) l top ▲

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