上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- -- l スポンサー広告 l top ▲
そんなわけでカレイドマスターに参加。恐らくはこういうこと、ですよね?
追記はカレイドマスター企画から「雨のち晴れ、時々鈴の音」
元の大まかな脚本→クリックしてね!
ある日の土曜日。午前11時でデスク仕事の人たちはそろそろ昼かと思う頃。
それと時を同じくしてダンススタジオでは春香と千早がレッスンに打ち込んでいた。
「わ、わわっ!」
緩急あるステップに逆に自分が踊らされて春香は足を絡ませて転んでしまう。
その横で千早はそつなくレッスンをこなしていたが、急に足を止めて表情を曇らせた。
「春香、今日はダンスレッスンの仕上げのはずよ」
「えへへ。ゴメンね、千早ちゃん。もう1回、いいかな?」
春香の笑顔は昨日よりも明るくない。千早はそれを違和感の塊として感じ取っていた。
昨日の春香より今の春香は動きにキレがない。躍動していない。
あくまでダンスはスパイスにすぎないがそれにしてもひどい出来だ。
「なんで昨日より動きが悪いの?」
ますます千早は表情を曇らせた。呆れや、焦燥からそれはきていた。
少しダンスに不安を持ったPの提案で、先にダンスレッスンを、それがある程度仕上がれば次は歌のレッスンをするという約束だ。
千早はダンスよりも歌を優先させたく、それが表情とため息として出た。
春香はなにも言えず、顔を俯かせてしまった。それを見て、つい千早は。
「あなたにはプロ意識が足りないのよ!」
そう怒鳴ってしまった。今はこんなことをしてる場合じゃないという気持ちよりも前に進めないもどかしさが勝ってしまったのだ。
とてもじゃないが春香の顔を後悔の念から千早は見ることが出来なかった。怒鳴り散らした後のスタジオの空気はひどく重かった。耐え切れず千早はその空気と春香から逃げた。
あっ、という声が聞こえたがそれでも振り向かず千早はスタジオ後にした。
きっと春香が私に声をかけようとしたのだろう。

あれから30分ほどたっただろうか。千早はいまだ帰ることが出来ず何度目かのため息をついた。
悶々と黙々とベンチにただただ座っている。動けないのか、動きたくないのか微妙なところだ。
「あ、いた! 千早さーん」
聞きなれた可愛げのある声。それの声の方向に顔を上げれば廊下の先から美希が見えた。
最初は距離があったものの、あっという間に美希は千早の前に立った。
「千早さん今日はレッスン午前だけで、午後フリーだよね?」
千早の心持など露知らず、いやそれすらもはねのける勢いで美希は千早の隣に陣取る。
「お昼食べに行こう! 美希ねー、千早さんの為に美味しいお蕎麦屋さん調べて来たの!」
お蕎麦か、と思ったが奇妙だ。確かに千早は最近お蕎麦について気になっている。
そこらにある蕎麦屋に単身乗り込むほどだが、それを美希が知っているのはおかしい。
これは先日のトーク番組で話した。その番組はまだオンエアされていない、だからこの話を知っているのは同じ番組に出ていた人だけになる。
同じ番組に出てた人だけ、それで千早はピンときた。同じ番組に出ていて、美希と仲が良い人物、それは。
「美希……その話、誰から聞いたの? 私の今日のスケジュールは?」
きょとん、とした顔の美希。
それとは対照的に千早はいたって真剣な顔。
美希は話した。誰から千早のスケジュールについて聞いたのかを。
全て聞き終えて千早は立ち上がった。美希に礼を言って、走り出した。

千早がいなくなったあと、春香は練習を再開していた。
汗だくになりながら、何度も転びながら。それでも。
だが昼を告げる携帯のアラーム音、と携帯につけている鈴の微かな音、を聞いた瞬間春香は倒れるように床に両手をついた。
汗は垂らしながらも、目を瞑りながら涙だけは堪えた。
千早の厳しさに、自分の不甲斐なさにどうにかなりそうになりながらも涙は流さなかった。
泣いていたって千早は帰ってこない、自分の情けなさは解消できない。だから泣かなかった。
キュッ、という音に驚いて目を開けた春香の視界に入ったのは白いつま先だった。
千早が戻ってきた、が春香は顔を上げることが出来なかった。
「明け方まで長電話なんて、ダメじゃない」
春香は内心たまったものではなくて、だけど顔をこのまま上げずにいるのにもたまらず、恐る恐る顔を上げた。
見上げた先に待ち受けていたのは見たくもない怖い千早だった。
そんな春香の気持ちを察しながらも千早は聞く。
「今日はダンスレッスンだって知ってたのよね?」
数秒間の沈黙があって、また春香が顔を伏せた。
千早はもう一度同じことを聞こうとしたが、それよりも早く先に春香が喋った。
「だって、美希が千早さん、千早さんって嬉しそうにしゃべるから……」
ゆっくりゆっくり、千早を見上げた春香はもう半泣きで、涙も流れてしまっていた。
「私だって……」
これより先の言葉を聞かされたらまずい、と直感した。
だから先手を打つ。
「今日の午後のオフ、無しだから」
「…え?」
「今日中にダンスレッスン仕上げるの。16時から、レッスン再開」
ちりんっと、シンプルな鈴のストラップがついた自分の携帯を取り出して春香に見せる。それはメールだった。

from プロデューサー
無題

お姫様二人のためになんとか予約しました。
とりあえず合流するまでは二人でがんばれ。
そんじゃ、ひでぶっ。

そのメールを見てようやく春香は、春香らしい笑顔を見せた。
「そう、だよね。へへ。私、頑張んなきゃ!」
「16時にはプロデューサーも来るわ。それまでは、自由時間よ」
千早はジャージのポケットにある鍵を取り出してそれを春香に渡しながらこう付け加えた。
「このフロアのミーティングルームB室、16時まで使えるわ」
その時春香に電流走らず、呆けた顔で鍵だけ受け取る。
それまでのため息とは違うため息をついて、意を決して千早は言う。
「仮眠しなさい。3時間でも眠れば、ずっと楽になるから」
面と向かって他人を気遣ったことがあまりないので、照れやら恥ずかしさやらでどうにかなりそうだった。
当然、そんな状態の千早が春香の顔を見るなんて夢のまた夢だ。
これ以上は無理と判断した千早は足早にスタジオを立ち去ろうとした。
慌てて、春香は千早の服の裾を掴んだ。
それが千早には置き去りにされまいとする子供のように思えた。
それが、たまらなくいとおしくて。
「えっとね、千早ちゃん……」
そんな春香に、振り返って優しく微笑みながら千早はこう言った。
「なにかしら?」
2010.05.11 Tue l 小説 l COM(0) l top ▲

コメント

コメントの投稿












       
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。