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タイトルがまだ決まってないので、決まったらTOP記事に上げよう。
それでは読んでくれて意見なんかあったらどぞどぞ。
 もう行ってしまわれるのですね。

 はい。あまり時間もありませんので。

 では、これを。

 ええ、ありがたく。それでは行って参ります。

 はい、あの。

 何でしょう。

 …必ず帰ってきてね。

 心配はいりません。すぐにまた帰ってきますよ。

 うん。

 それでは。

 …うん。

 
 暗いくらい所から一筋の光が飛び出した。
 光は一つの丸に向かって一直線。
 その後ろで、誰かの水と音が混ざり合って。
 でもそれは光には知る術もない。
 光はただ前へ前へと進んでいった。
 光と小さな丸がぶつかった。
 まっすぐ飛んでいた光がふらふらと。
 なんとか丸へと向かっていって。
 やがてみえなくなった。


「んん…」
 リリリ
「んっんう…」
 リリリリリリリリ
「…ああう」
 ジリリリリリリリリリリ!
「うる、さい」
 ジリリリリリリリリリリ!
「なんです、か?この音は」
 ジリリリリリリリリリリ!
「耳障り、ですね。どこから、とこれでしょうか…」
 ジリリリリリリリリリリ!
「…どうすれば止まるのでしょうか」
 ジリリリリリリリリリリ!
「…こうしておきましょう」
 リリリリ
 うわああああ大変だああああああああ
「次から次へと一体なんのでしょう…というかそもそもここは」
 なべがああなべがああああああああああ
「誰かいるのなら、そちらに聞いたほうが早そうですね」
 とは言ったものの、正直不安だった。目覚めの直後、わけのわらない騒音、見知らぬ場所の光景、奇声。どれが安心要素になろうか。そしてその奇声はどうやらこの下から聞こえたようだ。恐る恐る階段を下りる。ギシッという音もしない自分がいた場所で使われていた階段とは大違いのようだ。
 階段を降りきると廊下に出た。フローリングは綺麗に輝いているようにも見えた。裸足だけれどそのままスケートでもできそうな気分だ。それとは裏腹に。
 どたばた!という典型的な擬音が聞こえてきそうな部屋が一つある。廊下を玄関とは逆に歩きその左手に一つ部屋がある。ここだ。なにか布がかかっているがなんのためかはさっぱりわからなかった。それよりもわかることといえば心臓が過去類をみないくらいに鼓動していることだろう。それでもなにも知らぬ不安よりはいいと意を決してその部屋に入った。
 広めの部屋に黒色長髪の人物がいる。なにやらまわしている様だが慌しくて見ていられない。なにをしているのかじっと見ていると私に気づいたのかこちらに振り返った。
「おお、起きたのか?」
 いきなり話しかけられて心臓が止まりそうになった気がしないでもないがここは冷静に、いや実は口から一瞬でたかもしれないやいや今はそれどろじゃない落ち着くのよ私。
「おーい、聞いてるー?」
「え、ええ…」
 なんとか音になったものの返事というよりはうめき声に近いものになってしまった。構わず少女が喋りかけてくる。
「起きてこれるなら大丈夫ってことかな、なんか痛いところとかない?」
「あ、いえありますん!」
「どっちなのさ」
「あ、ありません」
「んーなら平気ってことかな」
 なにが平気なのかさっぱりわからない。というか彼女が何を言っているのか理解できない。だけどこの状況に脳は慣れてきたみたいでなんとか質問もできそうだ。
「あのー」
「ん?」
「いささか急なのですが、いくつか、というより多々質問があるのですが…」
「ん、ちょっとまって」
「は、はい」
「…」
「…」
 リリリ
「君、目覚まし止めた?」
「めざまし、ですか?」
「そう、目覚まし」
 めざまし、メザマシ、メザまし…?一体何のことかまたもわからなかった。ただ彼女がこの音について言及しているのはわかる。つまりあの音がめざましなるものなのだろうか。
「寝ぼけて止めてないなーあはは!」
「あ、いえ確かに寝ぼけてはいましたがどう止めればいいのかわからず」
「ありゃ?そんなに難しい止めかたじゃないのに、ただ上をぽちっと」
「ぽちっ、ですか?」
「そう、ぽちっ」
「…面妖な」
「綿羊?羊でも飼ってるのか?」
「執事を飼ってる?執事はいましたけど」
「いや執事じゃなくて羊」
「?」
 ひつじ?…執事の中の執事、みたいなことだろうか。
「ってああああああ!時間、やばい、遅刻!」
「なぜいきなり片言に」
「と、ともかく自分もう行かないと!」
「行くとはどこにです?」
「学校!」
 がっこう?…滑降?
「どこでするかは存じ上げませんか、お気をつけてください」
「え、ええ?ま、まあいいや。それじゃちょっと行ってくるね!」
「はい」
「それじゃいってきまーす!」
 バタン、と扉を勢いよく開けてそれを倍の力でまた閉める。バタンも倍で少々驚いてしまった。なんともまあ、元気溢れる少女だった。そして彼女を見送った扉の前で立ち尽くすこと数秒、ぽんと手のひらを打った。
「質問を忘れていました」
 そして思い出す。基本的になんでもできるが変なところでうっかりをする、と言われていたことを。でも誰に言われたかまでは思い出せなかった。結局起きたときからさほど状況は変わらずのまま。そもそも行ってくるとは聞いたが帰ってくるとは聞いていない。また不安になってくる。とりあえずここで待ってみよう。
 いつまでも扉の前で立ち尽くすのもあれなので周りを調べてみることにした。まずは先ほどの部屋に戻ってみることにした。ぱっと見たところ広めだと感じたように実際もなかなか広々としていた。見知らぬものばかりが部屋のあちこちに置いてある。特に気になったのは四角い箱だ。それはリビングの角にあり、台のようなもので位置が高くしてある。なにやらボタンらしきものがいくつもあるが、知らぬボタンは押さないこと、と誰かが言っていた気がする。そんな勘にも似た気持ちから押すのはやめておくことにした。かわりになにもないところをツンツンしてみたり触ったりさすったりしてみた。特に何も起こらない。もしかしたただの箱なのかもしれない。
 リリリ
「そういえば…」
 このめざましは、上をぽちっとすればいいと先ほど彼女から聞いた。いい加減耳障りなこの音ともお別れしたい。なので上に行くことにした。階段を上がって元いた自分の所へと帰ってきた。めざましはというと起きたときに頭付近にあった長方形のずむっとした感触のものとかけてあった布を併用して音を遮らせていた。改めてそれらをとる。
 ジリリリリリリリリリリ!
 相も変わらずけたたましいそのめざましは本当に耳障りだ。私はこのめざましが好きになれそうにはない。窓の外へ投げてしまおうかとすら思ってしまう。しかし今は止める術を知っている。彼女の言う通り、上部にはなにかスイッチらしきものがある。しかしボタン同様によくわからないもののスイッチを押していいのかと不安になってくる。しかしここは彼女からもらった情報もあるし、彼女が嘘を言っていないか、もし仮に帰ってくるとしたら今後信用に値する情報をくれる人物なのかということを判断するためにそのスイッチを押した。
 ジリリッ
 めざましが途端に止んだ。猪突猛進のようにめざましを出していたそれが明鏡止水のごとく静まり返った。魔法でも使った気分だ。
「めざまし、敗れたり」
 何となく言ってしまったが特に意味はない。ただめざましを止めたということをより強く感じたかったのかもしれない。なにはともあれ山積みのうちの問題の一つが解決したことにほんの少しだけ安堵した。
2010.10.17 Sun l 自作小説 l COM(0) l top ▲

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