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しかしこの街はさほど大きくない。まだ見回ったところが宿屋だけだから詳細はわからないが、移動が嫌になるほどの大きさではないはずだ。本当に良い街だ。

「可愛い宿娘もいるしな」

「うんうんまったくだってコラァ! デフォで心を読むな化け物か」

「化け兎だ」

「くそ、どや顔してあほみたいな事言ってるが真実だから突っ込めん…」

「突っ込むなら」

「言わせねーよ!? これ以上すると俺の世間体が噂が噂をよんでマッハなんだからね!?」

「まあまあハ」

「げねーよ天丼多いよ!? はぁはぁ」

「賢者タイムか?」

「…そろそろ話を進めたいのですがよろしいでしょうか」

「構わん、やれ」

「…はぁ、ともかくギルドに入る準備は多分できた。管理者がいる場所を探そう」

「ああそれなら探しておいたぞ、とは言っても宿舎と道を挟んだ隣にあったから苦労はしなかったがな」

「まぁじで」

「まぁじで」

「でかした、サンキュー!」

そう言っててゐの頭に手をやって乱暴にくしゃくしゃと撫でた。そこで改めてわかったがこいつについているウサミミはどうやら直に頭にくっついているようで化け兎というのも嘘じゃないようだ。
しかし髪の毛はサラサラしてるし、ウサミミはもふもふしてるし、こんなんで大丈夫かな。

「…さっきはあれほど世間体がどうとか言っていたわりには大胆じゃないか」

「えっ?」

「全身黒ずくめの鎧を着込んだ男がウサミミとしっぽをつけた幼女の頭を撫で回しているんだぞ?」

「…詰んだ、もう無理ぽ」

「まあ今回は助けてやる…えへへーてゐえらいよね? ちゃんとここで待ってたんだから、撫でてくれたんだよね」

「えっ」

ギロリッ

「あ、ああそうだぞー! てゐはちゃんとここで待ってたからついついうっかりなでたくなってしまったんだーははははは」

(大根役者も裸足で逃げ出す下手糞だな)

「…おお、周りの視線が和らいだ。通報しておきますね^^;から微笑ましいのうwww微笑ましいのうwwwwになった!」

「次からは気をつけるといい、あと貸し借りもこれでチャラになったなこれじゃ身体も」

「ああ! ありがとな、てゐ! お前が最初に隣にいてくれて助かったぜ」

「…ふむ、一級フラグ建築士としては有望だな、楽しみだ」

「ん? 何か」

「言っていない、さっさとそのぎるどとやらを作って宿を確保して情報を集めようではないか」

「それもそうだな、いつまでもコントやってるわけにはいかんざき! さあ行こう」

「決めたつもりか、はっは、かっこいいよ、ゴブリンと同じくらい」

「ストレートにひどい!」

てゐと二人でギルド宿舎の隣にあるギルド管理舎という建物に入る。
この街の建物はほとんが石積みでどこか重苦しい印象を受けるが、この建物は特にそれが顕著に現れていた。むき出しのままの煉瓦の間から小さな草が生えている、所々ほこりにまみれている。
薄暗い建物の中を照らすのは数個の燭台だけで窓もなく何か不気味なふいんきryに包まれていた。
そこに長々とまるで仕切りであるかのごとく置かれた長細い木製のカウンターで男が一人佇んでいた。
時折口から煙を吐いているが、それが何なのかはわからない。ともかく話しかけて見よう、そう思い話しかけようとした時だ。

「よう、首輪つき」

「いや違うし、首輪付いてないし、その趣向もないし」

「おおっと、悪い。つい癖でな」

「不意だまはあまり使うべきじゃないぞ」

「ああ気をつけるさ。何せ殺したりするんだ、殺されたりもするからな」

「何を言っているのか理解不能状態」

「ああ、また癖だ。気にするな」

「いや、その口癖はどうかと思うから直したほうがいいと思うが」

「まあ覚えておくさ、それで本日はどんな御用で? 襲撃や破壊依頼なら今はないが」

「ここってギルドを管理してるんだよな?」

「ああ、そっちのほうもやってるな。刺激的ではねぇが」

「なら新しいギルドの創設何かも受け付けてるんだろう?」

「そしてあんたはギルドを創設したいと、そんなところか」

「その通りだ。条件は?」

「金と頭数」

「これで足りるか」

「…金は問題ねぇ、500Vありゃ十分だ。しっかし頭数がたりねぇ、あと一人ってところか」

「あと一人か、んーどうすっか」

「しっかしまあ奇遇だな」

「えっ?」

「…お前もここの人間じゃないってことかい?」

「ほう、嬢ちゃんは勘がいいな。当たりだ」

俺とてゐ以外にも他の世界から来てるやつがいるってことか。俺の知り合いでもないし、さっきのてゐの口ぶりからするとそっちの知り合いでもなさそうだ。
つまり少なくとも三つの世界からこの世界に飛ばされている奴が少なくとも一人はいるってことか。
そう考えると、偶然起きたものと考えるのは少し安易過ぎるな。

「俺みたいな殺人者がどうしてこんなところにお招きされたがわからんが、とりあえず今は落ち着いてギルド管理なんてのをやってるよ、器じゃなかったんだろうな、元々」

「…物騒な単語が聞こえたがスルーで。つまり頭数は3人ってことでいいのか?」

「問題ない、それとギルド登録も制限がある今は大体12時だが、登録は15時までだ」

「それは何で?」

「俺が寝るからだ、15時以降は適当にそこの任務一覧の看板に依頼書をはっつけてやりたいのがあったギルドはそれをやって、終わったら俺を起こして報酬もらって終わりだ。簡単だろ?」

「寝るなよとか突っ込みたいが、その前に聞きたいこともある」

「通貨だな。この世界の通貨はV(ヴァル)だ」

「俺のところの通貨じゃないな」

「私のところでもないな」

「勿論、俺のところでもない。だから当然お前らの世界の通貨なんざゴミ以下さ。聞きたいことは終わりか?」

「いや、そもそもこの街にギルドって存在するのか?」

「…どうしてそう思う?」

「元はお前だって余所者ってことだ、いくらオープンな街でもギルドを運営するなんて余所者がいったら警戒もするだろうし、そもそも依頼が回ってくるのか、報酬が出るかも怪しいだろ? 俺ならそんなギルド管理のところでギルドを作ったりはしないよ。それに自分のことを殺人者なんていう奴が管理者なら尚更だろう」

「ほう…」

(うむ…)

「お前さん、珍妙な外見しちゃいるがキレ者じゃないか」

「えっそう? やっぱりかーそうかそうかーあははは!」

「まあお前さんの言ってることは半分は当たってるよ、確かにこの街に今ギルドいない」

「今ってことは」

「ご明察だ、前はいたんだがな、数ヶ月前に別のギルド管理のところに行ってな。これがまたひどい話でよ」

「どうしてだったんだ?」

「俺の管理が杜撰だから、だってよ。報酬も渡してたし依頼もちゃんと回してた。まあ確かに寝てたりリザのメンテをしてたりはしたがな」

「(リザ?)それは抜ける奴も出てくるだろう。それ以降は?」

「そいつらが消えて以来俺の評判は更に悪化、今では俺と関わってくれるのは宿屋の娘だけ、当然ギルド設立なんて申し出る奴はいない、んで今に至るわけだ」

「なるほどな」

「ということはあんこく、この街じゃない街も割かし近くにあるのではないか?」

「だろうな」

「私は冒険者ではないが、それでもここよりは大きいのではないだろうか?」

「それはごもっともなんだけどさ、残念ながら」

「余所者は招き入れられず、だ」

「ぬっ」

「どこの世界でも用は結局同じ、囲いから外れた奴のことなんざ知ったことじゃないってことさ。ああまるでクレイドルみたいな体制を思い出すよ、まとめてやるには最適だがな」

「さっきからちょくちょく物騒だな、ギルド管理者なら発言に気をつけたほうがいいぜ?」

「ごもっとも、だが一応管理ってだけで金は貰えてるんでね。生きてはいけるんだな、これが」

「…それでどうする? この男も丸ごと信用できるほどの男でもなく、次の街に行っても門前払い。私は早く自分の世界に帰りたい、ここで手を拱くのは勘弁だが」

しびれを切らし始めたてゐが不機嫌を押し殺さずに問いかけてくる。だが言っていることは正論、俺だって自分の世界に帰りたい気持ちは少なからずある。
それにいつまでも俺みたいに危険な旅を続ける奴とてゐを一緒にしてるのはまずい。てゐだけでも先にてゐの世界へ返す手段の取っ掛かりが欲しいところだ。

「…急がば回れ、か」

「つまりぎるどとやらを創設してここに残り功績をあげ、次の街の門を開かせるってことだな」

「ああ、悪いが手段はそれしかなさそうだし。それでいいか?」

「良い悪いも今のところは運命共同体のお前がそう言うんだ、私はそれでいいよ」

「おう! よーし、久々にクエストやりまくりますかねー!」

「お二人さん、盛り上がってるとこ悪いが話をまとめさせてもらうぜ」

「おう!」

「次の街に行くにはある程度の名誉やら地位、信頼がありゃいい。そこであんたらはこの街でギルドを作りそのための足がかりを作る、ok?」

「おk」

「無論俺もギルドを作ってくれるのはありがたいから断るつもりはない、金もある。が、忘れちゃいないな? ギルドの創設人数は」

「"3人"だったな」

「その通りだ嬢ちゃん。手続き上なことだから頭数さえいりゃいい、だから嬢ちゃんが二人目でカウントしてもいい。だがいないものをいるってことにするのは」

「できそうなもんだがな」

「言うな、ぶっちゃけやれないこともねぇ。だがそれをしちゃいけねぇ事情ってのがあるんだ、勘弁してくれ」

「ならさっさと三人目を探さにゃ!」

「当ては?」

「ない! これから探す! ヒャッハー、冒険だー!」

「慌しい奴だ、それにしても嬢ちゃん」

「何か用か?」

「今のところはどうかね、あいつの調子は」

「まだまだだな、喰えたものじゃない」

「おお、手厳しいことで。こりゃ苦労するな」

「惚れさせてくれれば尽くすがね、生憎こちとら化け兎でね。性欲は盛んだが恋愛はどうだか自信がなくてね」

「化け兎とかきたか! ハッハー! 楽しい奴らだ、大量殺人なんざゴミみたいなもんだな」

「なるほど、お前も化け物のようなものか、なに化け同士仲良くやろうじゃないか」

「ああそうしよう。こりゃ少しばかし楽しくなってきたかな」

「それじゃ私はあの阿呆を追うとしよう、それじゃ短い付き合いだろうがよろしくのう」

「そうしろそうしろ、さっさともう一人見つけてきてくれよな」

「善処するさ」

さあってと可愛い子はどこかなー、一緒に旅をしてくれて前衛で戦った俺を健気に癒してくれる白魔的な子! ああどこぞにいるのかなー!
おお! あの子かわいいなぁ、いやあの子もなかなか! 何か良く見るとこの街可愛い子ばっかりだな。はっ、ついに俺の時代が来たんじゃないか!

「す、すいません。そこのお兄さん」

キ、キター! フラグget! どこで立てたかは知らないがとりあえずもらえるもの立てておけるものは全部買いだー! ヒャッハー!

「な、何か用かな?」

「私とデートしませんかてへぺろっ☆」

「ってお前かよ、てゐ! 妙に色っぽい声出しやがって!」

「ハッハッハ、化け兎だからな。これくらいは造作もないさ」

「なるほどなーってばか! 俺のどきどきとわくわくを返せよもー!」

「ハッハッハ…ん? あれは」

「ちくしょうー! もう自分から声かけにいってやるー!」

「おいあんこく、ちょっとこっちにこい」

「俺はこれからそこの白魔っぽい女の子にうおおおお力強っ! 痛い痛いもげるもげる!」

「静かにしないとその股間にぶら下がっているものをもぐぞ」

シーン

てゐさんこえー…。

「…やっぱりな、見覚えが、ある、んー、確証はないが」

「…何か気になるものでも?」

「気になるものではなく、人だな。いや正確に言えば違うが」

「人?」

てゐが向いてる方向に目を向けると、緑のベレー帽のようなものを被った少女がちょこんと噴水の淵に座ってため息を漏らしていた。決して洩らすとかそういう誤字はしないからな。
ふむ、見かけはモンクタイプのオーラが見えそうになっているがあんな華奢な身体だ、実際は違うかもしれない。でもてゐが気になっているのが一番気になるな。
そう思っているとてゐにまた手を引っ張られながらその少女のすぐ側まで来た。
2011.11.06 Sun l 自作小説 l COM(0) l top ▲

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