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貴方はどこに行ってしまったの? 誰の元へ行ってしまったの? 私の元へは返ってこないの?

あの人は返ってこないよ。もう誰も返ってこないよ。

私はあの人のために頑張ったのに、あの人は私のために頑張ってくれないなんて卑怯だよ。

そうだね。だけど世界は等価交換なんて甘ったるい理論だけで動いていないんだ。

貴方もまた、私の隣にはいてくれないの? ずっとずっといてくれなかった、またどこかへ消えようとするの?

何を言っているんだい。僕は誰の隣にでもいるよ。いつでもね。ただ僕が見えるのは思春期の時代が多いみたいだけどさ。

私にも思春期があったよ。正にあの頃がそうだった、だけど私の隣には誰もいなかったよ。嘘つかないで。

ううん、これだけは譲れない。僕たちは誰の隣にでもいる。それは君であっても例外じゃない。これだけは譲れない。

ならどうして手を差し伸べてくれなかったの? 誰かにそうするように私にもそうしてくれればよかったのに。

僕たちは手を差し伸べることはないんだよ。いつだって受動的に君たちの行動に応じて動き出すんだ。

私は手を差し伸べたよ、うんと手を伸ばしたよ。引きちぎれるくらいに手を伸ばしたよ。でもだめだったよ。

ううん、君はずっとうずくまっていた。自分の心の中に引きこもって、何も見ないで虚ろな目をしていた。

どうしてそんなことがわかるの?

僕が君の隣にずっといたからさ。過去も今も未来も、来世であっても君が人である限り僕は君の隣にいる。

でももう遅いよ。貴方が今見えてももう遅いの、だってあの人はどこかへ行ってしまったんだから。

そうだね、君が僕に気付かないフリをして逃げたから。目を逸らしているうちに彼はどこかへ行ってしまった。

違う、そんなことない。必死だった。貴方を欲して、あの人を欲した。けど貴方は来てくれなかった。

欲しただけでは僕は動けない。君が動いてくれなければ、僕は何も出来ないから。怖がりの君は、僕を見えないものだと蓋をした。

そんなことない。

僕は誰の隣にでもいる。でも普通の人はそれに気付かない。でも君は気付けた。僕は誰の隣にでもいるんだと。けど手を伸ばさなかった。何故?

わからない。

君は、怖がりだから。あの頃の君は差し出された手を握ることしか出来ないで、手を差し出すことができなかった。そして僕から逃げた。何故?

わからないよ。

君は、怖がりだから。僕が手を振り解いてしまうことが怖かった。自分が傷つくのがたまらなく怖かった。

わかりたくないよ。

僕たちに手を差し出すのは勇気がいることだ。それでもなお諦めることを拒否して僕たちに手を差し出す人がいる。そして動きだすんだよ。僕たちはね。

そんなの、言われなきゃわかんないよ。言ってくれなきゃわかんないよ!

甘いだけじゃないんだ、僕っていうものは。君が一番それをよく理解しているじゃないか。手を伸ばさなかった、代償として。

じゃあどうして今になって私の前に現れたの!? 私を笑いにでもきたの!?

そんな訳ないよ。君自身がやっと僕と話し合おうとして僕を睨んだから来ただけだよ。たったそれだけ。

私のせい? また私のせいだって言うの? 全部全部私のせいだって言いたいの…!? そんなの、酷すぎるよ!

それは僕に対しての言葉なのかな、それとももっと別の誰かに対する意味も含まれているのかな。

知らないよ! 返して、私のあの頃を返して! あの人を返して! 君を返して! 私の、青春を返して!

今の君となら一緒に手を握って歩けるかもしれないね。だけどあの頃はもう帰ってこない。僕から、青春から逃げたのは君なんだ、天海春香。



「そんなこと、ない…」
涙が溢れる。零れた。嗚咽と一緒に。
もう誰も返ってこない。あの頃も、あの人も、君も。
君から逃げたせいで何もかも返ってこない。返ってきたのはそんな結末だけ。
「逃げなきゃ、よかったなぁ…」
青春は誰の隣にでもいる。あの頃の私は気づいていたのに、それなのに。
奥歯をかみ締めて、涙も鼻水も堪え切れなくて、髪の毛をぐしゃぐしゃに、心もぐちゃぐちゃのまま、息を殺して泣いた。
もう私の元へ君は返ってこない。
あの頃の青春が私の元へ返ってくることは、ない。
これが私の青春になってしまったのだから。
2011.12.01 Thu l 自作小説 l COM(0) l top ▲

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