上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- -- l スポンサー広告 l top ▲
日本の奥底には嘘が隠されている。それがよくわかる職種だ。後悔はない。
俺の記事から悪意が滲み出るのは俺のせいじゃない、その元の記事が歪んでいたんだ。俺の悪意じゃない、隠し事の悪意。
俺はそれを記載させるだけ。ありのままを晒してあげるだけの優しい記者だ。世間では悪徳記者と呼ばれているがね。
これほど優しく真実を伝えるだけの記事を書くのは俺だけなのに、どうやら世界に悪役ってやつは必要らしい。
じゃなきゃ正義のヒーローはいなくなってしまう、正義が存在するために悪を作り上げる。そこまでしていいもんかね、正義なんて曖昧な定義に。
正義の反対はまた別の正義である。それで納得してくれればいいが、人間は元来俺のように捻くれているらしい。認めたいが認められない、そんな生き物らしい。
だそんな奴等が痛快な顔して罵倒してくる様ときたら、俺にはそれがたまらなく欲しいんだ。真実を晒すのはそういう理由でもある。
が、俺は真面目だから。真実を見たいのさ。ガキの頃から嘘がわかる、心で理解する。こいつは嘘をついているって。
今まで信じていた正義のヒーローのショーを見に言ったときは酷かった。何せ憧れていたヒーローショー全部が嘘だってこの目で見ちまったんだから。
やりたくないからやっているよ、金のためにガキの見世物になってやるよ、そんな見下した感情を隠しながら。確か、泣いたな、わんさか泣いて邪魔だからって追い出された。
今では感謝してるよ。あれがあって早い段階から記者になろうって思ったんだから。この世の全てを見たくなった、嘘を見たくなった。
何、別に暴こうって訳じゃない。大きな嘘や秘密には危険が付き物だ。暴こうってんならその危険は躊躇なく俺に襲ってくるだろう。
だから見るだけさ。誰にも気付かれずに見るだけ。いや楽しいぜ? 今でも書けないことだらけなのが残念だよ、俺は記者だからさ。
これからも嘘を重ねられていくだろう、何せ人間は死んでも生まれてくる。今この瞬間にも嘘の塊のような人間が生まれてるかもしれない。
俺が生きている間中は退屈しないだろう。蔓延する嘘の煙の中で独りニヤけて、そのうち死んでくだろう。そんな人生。上等だね。
「こらー! 待ちなさい悪徳!」
なのに、どうしてこいつはこうも絡んでくるかね…。俺に構うなっていったのに、最早偽善者通り越してストーカーだぞ。訴えてやろうか、まあ逮捕されるのは俺だろうがな。
「…」
「待ってって、言ってるでしょうが!」
右腕を掴まれる。何がしたいんだこの女は。同じ記者だか知らないが俺はそうそう好かれるようなキャラクターしてないんだ。著作権侵害で訴えるぞ。
「…善永、とか言ったな? 俺に構うなと言われたの覚えてないか? それともメモを取らないと覚えられない弱小記者か?」
「覚えていますよ! ですが貴方が知る真実を言ってくれなければ私はずっと構い続けます!」
「おいおい冗談はよしてくれ。俺は何も知らないよ。嘘を更に捏造するしがない悪徳記者なだけだ」
「でも貴方の瞳はうずうずしているじゃないですか。真実を言いたくて仕方なさそうに」
…記者としては鋭いのがしこたま面倒だ。世間の噂どおり、綺麗なだけのアイドル記者とは違うらしい。まさか見抜かれたぁ、思ってもみなかった。
だが言う気はない。言ってしまえば俺が危ない。こいつも嘘物語のような真実を聞いて殺されるなんてたまったものじゃないだろう。俺は優しいな。
「いいや、そんなことはない。お前の目が節穴だったってことさ、さっさと腕を放しやがれ」
「嫌です。放しません」
「放せ」
「放しません」
「ハ ナ セ」
「ハ ナ シ マ セ ン」
「あんなところにUFOが」
「バカにしてるんですか!」
「まあ今あっちでイチャイチャしている如月千早とプロデューサーらしき人物に比べればリアリティはないが」
「えっ」
引っかかった。放しこそしないものの力は緩んだ。なら開錠は楽チンだ。思い切り身体を走らせる。そのまま逃走だ。
「あっこら、待ちなさいー!」
「待ってと言われて待つ泥棒がいるかね」
「貴方は記者でしょうが! 待てー!」
「おっあんなところにUMAが」
「おちょくってるんですか!? 絶対捕まえて吐かせてやります!」
おおこわいこわい。若いってのはそれだけで凶器だね。結構なことだが俺に向けられるのは勘弁だ。しかし、まあ。
嘘をぶちまける俺の欲望の抑止力に、なんて変わった奴だよ。ホント、敏腕記者ってのが嘘みたいだね。
せっかくだ。せいぜい生きてる間は、助けてもらうとするか。なあに俺なんて早いうちに死ぬんだ。
あいつが嫁ぎ遅れないくらいには死んでるだろうさ。そしたらあの世で一面記事を作るとしよう。
タイトルは「あの美人敏腕記者が泣いた! 原因は悪徳記者!?」
これで決まりだな。
2011.12.03 Sat l 自作小説 l COM(0) l top ▲

コメント

コメントの投稿












       
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。