--/--/-- (--) スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 |


2011/12/13 (Tue) 天邪鬼故

御手洗翔太














あいつはいつも輝いていた。緑色の紙はサファイアを豊富とさせる。髪を後ろに纏めているカチューシャもブランドものに見える。
成績はそんなによくないらしいが、運動神経は取り分け抜群で先生や同級生、他にも下級生や上級生にも好かれている。
人当たりがよくて、明朗快活、単刀直入、竹を割ったような正確、少し腹黒で可愛い、勿論顔も整っている。人生楽しくなるようなステータスだ。
職業も既にアイドルだし。こりゃ適うわけない、適うつもりもないけど。なんて思っていたら御手洗はアイドルをやめて普通に学校生活に戻ってきた。
途中で授業を抜けることもなくなったし、今では元気にクラスの人気者になっていた。俺には到底真似できないし、真似したいとも思えない。
一方俺は、成績も運動も顔も中の下。趣味もないし、万年眠い、人当たり皆無、無口の世間的にはマイナスステータスの縛りプレイ状態。
誰も話しかけてこない。それは気楽だったが、やはり寂しいと思えることもあった。けど、友達を作るために愛想笑いはしたくなかった。
いつの日だったか。年がら年中眠い俺の睡魔が更に悪化するような季節だったか。それくらいから御手洗がやたらと俺に話しかけてくるようになった。
最初は授業と授業の間の十分休みだけだったのに、そのうち全ての十分休み、昼休み、最近では放課後まで一緒に帰ろうと言われる始末だった。
別に仲良くなりたくないわけじゃないし、毛嫌いするつもりもない。まあ人として羨ましいとか妬ましいとか思わないでもないけれど。
しかし、どうしてあいつなんかとという目線がひどく痛かった。そこは俺のせいではないんだが、なんて言おうものなら完全に敵視されるだろう。
仕方なく冷たい視線に晒されつつも俺は御手洗に付き合うことになったのだ。特段喋るでもない、俺が自分の机で寝ていて机の空いてる部分にあいつが腰掛ける。
たまに何か言ってくるので、ああだとかそうだなとか適当に相槌を打つくらいのものだ。最初はそれで飽きるだろうと思っていたが、なかなかいなくならない。
最近では身体を揺すって起こすことまでしてくるようになっている。冷たい視線にも磨きがかかり、二進も三進もいかなくなっていた。
そして俺は決心した。今日、俺は御手洗に言わなくてはならないこと言う。出来るなら言いたくはなかったが、これ以上は俺がもたない。
放課後、俺が帰っていると決まって後ろからひょこっと現れる御手洗。案の定今日も現れた。学校指定のダサい制服も御手洗が着るとドラマのワンシーンにでも出てきそうなオシャレ制服に見える。俺が凡人との差なのだろうか。
少しだけ胸がドキドキする。別に愛の告白をしようというわけじゃないのだが、相手を傷つけるかもしれないことを言うんだ。そりゃドキドキもする。
意を決して、喋りだす。


なあ、御手洗。

君から離しかけてくるなんて珍しいね。何?

もう、やめてくれないか? 俺に付きまとうのさ。迷惑なんだよ。

……

正直我慢の限界なんだ。俺の何が気に入ったか知らないが、俺の横にお前がいるだけで皆が俺を敵視するんだ。

……

だからここらで前みたいにそこにいるのにいなかった扱いでいいからさ。俺もそっちほうが気楽だし、お前だって楽しいだろう。双方にとって美味しいことだらけだ。

そんなのは君だけの意見じゃない。君がそう思うからって、君の意見を僕に押し付けないでよ。

いや、まあ確かにぶっちゃけ言うと俺がそうして欲しいだけだよ。御手洗、お前が近くにいると、迷惑だ。

本当に?

ああ、俺は注目されるのも嫌いだし、あんな注目のされ方にずっと耐えられるほど心も強くない。そこまで耐え忍んでお前と一緒にいたいとも思わない。だから頼む、一生近づくなとは言わないか
ら、たまにならいいから少し距離を置いてくれ。

……あははっあはははは!

おい、俺はまじめな話をしてるんだぞ? 俺だって怒ることもっ

やっぱり君はいいね! 他の人たちは違うよ。僕にここまでストレートに意見してくれる人なんてそうそういないから、逆にスッキリしちゃったよ! あはははっ!

なんで笑っているのか理解不能なんだが……。

ごめんごめん! 今日から気をつけるよ、でもたまになら話しかけてもいいんでしょ?

ああ、あの視線がなけりゃ俺も心地よく寝れるし、あれがなきゃいつでもどうぞ。

そっかそっかー! 気をつけるよ、あはは! それじゃ君がここまで話してくれたついでに、一つ伝えたいことと聞きたいことがあるんだ。いいかな?

何だよ?

僕の名前は御手洗翔太! 僕、君の事結構好きだから、友達になってよ!

はぁ、嫌いじゃないし別にいいけど。

それじゃあそれじゃあさ! 教えてよ、君の名前!

いや知ってるだろ。何度か先生に呼ばれてたりした

そうじゃなくて! 君から自己紹介されたいんだよ! そうしたらさ―――。



……わかった。俺の名前は―――。


それから御手洗は俺に頻繁に話しかけることをやめた。俺に注がれていた冷ややかな視線も自分達の所に御手洗が戻ることでなくなった。現金というか、自分に素直なことで。
しかしタイミング見計らっては御手洗は隙あらば俺のところへ来るのだけはやめなかった。俺も御手洗が来た時ばかりは顔を挙げくだらないことを話した。
それのおかげなのか、最近ではクラスの数人が話しかけてくるようになった。この間なんて俺と同じでほとんど一人でいた女子に笑顔が素敵なんだねとか言われて心臓がバクバクしたもんだ。
御手洗がそれを見ていたようで、この間一緒に帰ったときにそのネタ一辺倒でからかって来るもんだから思いっきり頭をぐりぐりしてやった。そしたらあいつ泣きながら笑う高等技術をやってきたからつい俺も誘われて笑っていた。
そしたら御手洗がああー! って人の顔を指差して今笑ったよね! 笑ったよね! とか確認してくるもんだから笑ったよって言ってやったらやったー! やっと笑ってくれたー! なんて大喜び。しかもその光景を前を見ていたあの女子にも見られて心臓がバカに痛かった。こいつはもう本当に。
その後、嬉しそうに昔一緒にアイドルやってた仲間から電話が来て嬉しくなってついつい公園までいってダンスしてたら公園が超満員になってたんだーとか言ってたな。さすが元アイドル、ダンスなんてやっちまうと寂れた公園なんかも超満員になるようだった。それが少しだけ、俺のことでもないのに、誇らしかった。
もうすぐ三年生になって、御手洗と一緒の学校にいられるも一年だけだ。素直に言うと寂しかった。だがそう思うよりは、あと一年間。御手洗はきっと俺の中学生活に少しだけでも色を取り戻してくれるだろう。あいつがアイドルだった頃、もっと応援してやればよかった。
御手洗、あの時お前が言った言葉。今になって俺も言える気がする。遅くなって悪かった。これからもつかず離れずでやっていこうぜ。
俺は、ぼそっと言ってみる。あの時御手洗が言ってくれた、平凡で、ちっぽけで、大切な言葉を。
俺も、俺もさ、御手洗と―――。

「―――やっと、友達になれた気がするからさ」

自作小説 | comment(0) |


<<復活の兆し | TOP | 才能者故>>

comment











管理人のみ閲覧OK


| TOP |

プロフィール

流ぬこ

Author:流ぬこ
自個偽無、候。
書いたり書いたりしている流ぬこです。
ピクシブなんかでも同じく流ぬこで書いています。
はじめの一歩を見るとオズマ戦でも小橋戦でもどの戦いでも泣けます。はい。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。