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2011/12/13 (Tue) つまんなく、あるもないも

朝比奈りん






「幸運エンジェルは生きている、ね。だけどもう魔王エンジェルは自然消滅、私達二人が復活したとしても幸運エンジェルは完成しないよ、ともちー」
友達とのショッピング中にともちーこと、三条ともみからメールがきた。内容は珍しい、というか人生に一度あるかないかの長文メールじゃないだろうか。
昔の私達の俗称に懐かしいやら恨めしいやらを感じる。まあいいことはそんなになかったけど。確かにあるんだよね、純粋な声援の力っての?
最近では聞いてなかった声。いや歓声事態は超満員だけどさ。よく聞くんだよね、生で聞くとそうでもないって。そりゃそうだ。
どれだけ機械使って調整してると思ってるんだろう。でも私達は別に調整していないなんて言ってない。
例えるならこの食品は美味しいですよって広まったものに化学調味料ばりばりいれてる感じかな。怒りそうな人は怒りそうだけど、化学調味料に害があるわけじゃない。
まあそんなわけであまり表舞台に立たない私達の歌を聴く人たちは大体が思ってたよりも上手くないって感想を抱くらしい。
どこかの記者には「CDのほうが魅力たっぷり、ライブチケットは高値の紙切れ」なんて酷評されてたっけ。小さな記事だったけど麗華は苦虫を噛み潰したような顔してたな。
あの顔には笑わせてもらったから、私的にはあの、悪徳記者だっけ? 評価してあげたいけどね。もう評価することも、潰すことも出来ないんだよね。
このショッピングもつまんないけどさ、今の麗華はもっとつまんないし。一緒にいてあげてもよかったあの時とは違うんだよ、ともちー。
でも幸運エンジェルが生きてるってどういうことなんだろう。さっぱりわかんないや。まさか一生に一度の渾身のギャグ? ……なわけないよね。
「ねぇねぇ、このコスメよくない?」
「んー、そうだね」
「全然聞いてないじゃーん、ほらこれこれ!」
「はいはい」
別にそんなコスメいつでも手に入るし、色濃すぎだっての。その山姥メイクには必要なのか? というかこいつ本当に同世代? 恥ずかしい……。
あーあ、なんでこんな奴等とつるんでるんだろ。バッカじゃん、最高に滑稽って感じだよ。何の目的も持たないでただのうのうと生きるだけ。
三秒前の会話なんて気にしちゃいない、鳥かってーの。しかもずっと同じ話ばっかり。
男がどーだ、化粧がどーだ、悪口どーだ。飽きもしないで毎日毎時間毎分毎秒、他人を貶して自分は可愛がられようとする。私には理解できない。
あれだね、こいつらの未来はさお茶汲みOLで給湯室とか更衣室で悪口垂れ流して生きていくんだろうね。うわぁ、簡単に想像できちゃった。
まあそれもすごいと思うけどさ。何だかんだこの社会で生きられるってことだし。ニート達なんかより幾分かマシなのかな? 私はどっちもお断りだけどさ。
そういえば私が幸運エンジェルに入ったのってそれが目的だっけ? 社会とは隔離された独自の社会の中で生きられる芸能社会。
人生に暇してた、まで大げさには言わないけどさ。そんなときに麗華に声かけられたんだっけ。そんなにつまらないなら、一緒に楽しくしてみない? だっけ。
最初は断った。だって楽しいのは大歓迎だけど面倒なのは一番いらないんだよね。この世に面倒がなければいいのに、生きるためには面倒なことに耐えなきゃいけない。
そう考えると私にできることなんてなかった。だって私耐えられなかったし、面倒に耐えるとか愛想笑いするとかそういうの見るだけ鳥肌立つし吐き気もするんだよね。
アイドルだってそうじゃん。最初はよくわからないライブハウスで気持ち悪い奴等に媚を売るようなしなきゃいけない、その段階があるだけで私はスタートにすら立てないって思った。
「でもさぁあの麗華って奴? ざまぁないよね、調子に乗ってずっとランキングにいてさ、うちらの朝比奈まで独占して何様って感じ。仲間に手出しすんじゃねーって感じ」
「うるさいなぁ、ちょっと黙っててよ」
「ちょっとひどくなーい? 私はあんたのために熱弁してるって言うのにさ、ねー? みんなもそう思うでしょ?」
周りの山姥達からそうだよそうだよとかの適当な相槌が聞こえてくる。……うえ、気持ち悪い。化粧だけにしといてよ、気持ち悪いのはさ。
あーなんだっけ。……そうだそうだ、そしたら麗華言ったんだよね。案外つまらないのね、あなた。ピキっときたね。あぁん? 言葉で表現するならその感じかな。
私がつまらないんじゃなくて世界がつまらない、この社会がつまらないのにって思ってた私だから反論したね。そっくりそのまま今思ったこと。
世界の、社会のせいにつまらないって決め付け。誰かがいけないから悪いんだって理論と一緒じゃない。貴方が一番嫌いそうな人たちのね。
そう言われて、思わず叩いたんだよね。うっわ、思い出すだけで恥ずかしい。反論できないから手をだすとかまんま私の嫌いな奴そのものじゃん。気をつけよう。
はっとして、まっずって思って逃げようとしたとき後ろから声かけられて、止まったんだ。
そうやって逃げ続けるのね。嫌なことの先にある、夢や希望を掴もうとしないでただ人生逃げるだけ。なんてつまらない女。
これだけ言われてさ、そのまま逃げれる? 逃げたらはいそうです私は本当は同属嫌悪して何もしない甘ちゃんの負け犬女ですって認めるようなもんじゃん。
当然引き返した。そんで麗華の前に立って宣言したんだ。やってやる、私は逃げも隠れもしない。掴んでやるよ、私の夢とやらおさ。これも恥ずかしい、青春漫画かっての。
それからは地獄の連続、走り回って媚売って小規模なライブハウスでライブするのも一苦労。麗華はいいとこのお嬢さんなのに決してその力を使おうとしなかった。
幸運エンジェルなんて名前だったけど、ラッキーだけで上がってきたわけじゃない、とか愚痴ったっけなぁ。そしたら二人とも笑って聞いててさ。
あれ、なんだろ? 今無性に返信したくなってきたし、走り出したくなった。私のキャラじゃないのに。でも今を逃したら二度と戻ってこなくなるものがある気がするんだよね。
そこんとこどうなのさ、私。
「まあ、あいつもあのナムコエンジェルスみたいな媚売ってるようなアイドルに負けたんじゃもうダメだよねー。朝比奈、別れて正解だよ。これからは私たちの仲間として絆深めてこーよ」
「……」
「っと、そこで相談なんだけどさ。あんたアイドルの時結構儲かってたんでしょ? ここは手っ取り早く絆を深めるために、プレゼント贈るなんてどう? 名案じゃない?」
「……」
「いや別にたっかいものとかブランド物とか欲しいってわけじゃなくて、まずはそこのファーストフードをちょっと奢ってもらって、座って親睦を深めたいのよ? よくない? なんだったら半分だけでもいいしさ」
「……そんなに私と仲良くなりたいの?」
「もっちろん! だって元々私たちって親友だったじゃん? でも麗華とかいうつまんない奴のとこ行っちゃったじゃん、朝比奈。だから少しだけ、その謝罪もほしいかなって。なんて嘘嘘!」
「……そう、それは悪かったわ。ごめんなさいね」
「いいっていいって! それじゃ仲直りの証にさっそく奢りで行こうかー!」
「うん、はい。それじゃこれ」
「一万円も!? でもこれじゃファーストフードは勿体無いし、余った分は皆でオソロの何か買って―――」
「あげるからさ、さっさと行ってきなよ」
「えっ?」
「もう我慢の限界なわけ。あんたらみたいなの、実は一番嫌いなんだよね。さっきから鳥肌止まんなくて、もう羽ばたけそうでさ」
「ちょ、ちょっとひどくない? 確かにいきなり奢れは言いすぎたかも知んないけど、元はといえばあんたが先に―――」
「あれ~? さっき許してくれたのに今更ぶり返すんだ。なっさけなぁー」
「……ちょっと調子にのんないでくんない? マジで切れる五秒前なんだけど」
「ふっる! 古いのはメイクだけかと思ってたら言語まで古っ! ギャル気取るんならせめて言語とかファッションくらいはアップデートして最新にしといたほうがいいよ」
「うるさいな! 何なんだよこっちが仕立てに出てれば調子乗っちゃって! このメンツのリーダーはあたしだっての、勘違いすんなよ! このブス!」
「あっははは! お山の大将ここに極まるだね、あーお腹痛い。こんなちゃっちぃ奴等囲んで大統領面とかギャグでしかないでしょ? あんたセンスあるよ、人に笑われるセンスが、あっはははは!」
「もうあったまきた! あんたなんかこっちから願い下げだっつーの! もう二度と学校でも話してやんねーし、学校で何があってもしらねぇーからな!」
「おおーきなきな! あんたらのつまんなそーなイジメなんかより麗華の心抉る言葉の方がよっぽど聞くっての! 麗華がつまんない? あったこともねーのに、一般人のゴミみてーな一介の女子高生が、頂点にまで上ったあいつのこと貶す権利なんかないんだよ!」
「……っ!」
「はっ! ちょっと凄んだらもうびびって逃げ腰とかどこまで情けないんだよあんた。ここにいるのが私でよかったな、麗華だったらあらゆる意味で潰されてるよ。乳くせぇガキ共はママのおっぱいでも飲みに帰りな。その一万円もあげるからさ、精々上手いもんでもくいなよ。人の金でさ」
「か、帰ろっ! こいつ頭おかしいって! 皆でどっか行こう、ね?」
そう言って逃げるようにあいつらはどこかへ行った。一万円は握り締めていくあたり、プライドも何もあったものじゃない。あの諭吉さんには次あったら謝っておこう。
「ねぇねぇ、君すごいねー! 堂々とあの数と言い合うなんてかっこいいよ!」
「あ、あんた! ジュピターのちっちゃいのじゃん! なんでこんなとこに!」
「ちっちゃいのって失礼だなー、僕は御手洗翔太だよ」
いや、別に名前とかどうでもいいし。っていうか今からメール返信するんだから寄ってくんな。
「……君もそうなんだね!」
「何よ。あんたも大人数と大喧嘩でもしたの? 慰めなんかしないからさっさとどっか行ってよ」
「離れ離れなっていた人達に会うんでしょ?」
……何でこいつ、それを。別に会うって決めたわけじゃないけど、とりあえず返信してから作戦練って。あれ? 行く気マンマンじゃん、私。
「君も、ってことはあんたはそうなのね。私は別にそういうわけじゃないから、それじゃ」
「あっ待ってよー! もう少し話そうよー!」
「うっさい! こっちくんな!」
このガキなんで付いてくるのよ。これじゃ返信できないじゃない。あのね、私は今あんたと話したいんじゃないの!
あいつら二人と話したいのよ!
……うわ、はっずかし。でもそれでやめちゃったらつまんないまま、でしょ?
麗華。

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Author:流ぬこ
自個偽無、候。
書いたり書いたりしている流ぬこです。
ピクシブなんかでも同じく流ぬこで書いています。
はじめの一歩を見るとオズマ戦でも小橋戦でもどの戦いでも泣けます。はい。

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