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高槻やよい



朝。おはよう! 朝ごはん! と叫びたくなるような気持ちのいい朝。埃一つない空気の中、一人のアイドルが起きます。
「うぅ、ん~……ふあぁ」
大きな欠伸を一つ。その目じりにはたんまりと涙が溢れる。少しの間だけぼーっとする女の子。すぐに自分の頬を叩いて目をかっと見開く。
「んー! のびぃ~」
布団をめくり、立ち上がる少女は大きく背中をそらす。発展途上の胸だが、強調され底の浅い椀程度には見える。これからに期待したいところです。
「よしっ! 今日は早くしないとだめだからがんばろーっ! おー!」
元気に宣言する少女の名前は高槻やよい、ただいま爆進中のアイドルです。最近ではテレビの露出も増えています。
さて、いきなりですが今日の高槻家はいつもと違った表情をしています。すごく、静かなのです。
やよいが起きる頃にはもう既に兄弟達が暴れまわっていたりとそれはもう昔の日本家庭の日常を思い出すように一日が始まります。
けれど今日はだ~れの声も聞こえてきません。それもそのはず、高槻家はただいま旅行中なのです。ですがやよいは家にいます。どうしてでしょう。
残念ながらやよいだけはどうしてもアイドルの仕事で外せない用事があり、ついていけなかったのです。
元々旅行はやよいが今まで育ててくれた両親のためにと家族全員で行ける旅行プランを組み立ててプレゼントしたのです。まあプランを考えたのはプロデューサーですが。
「お仕事は明日だしっ、今日は部屋のお掃除とかやっちゃおうっ! それも念入りにっ!」
布団を畳んで小さな身体で押入れに一生懸命に入れます。その姿はまるで小さな蟻が大きなものを運ぶ姿にも見えます。可愛さは比ではないですが。
布団を押入れに何とか入れたやよいはすぐに掃除機がある場所へと向かいます。掃除機は洗濯機の横に置いてあるのですが、あらびっくり。
「ああ~!? お母さん洗濯物忘れてるよー……もう、よっしついでにやっちゃおーっ!」
どうやら母親が洗濯しないまま旅行へ行ってしまったようです。キャラもののブリーフややよいのものよりもっと小さなパンツ、お父さんのであろう大きなトランクス。
勿論、その中にはやよいの衣服もあるわけですがこれ以上は見せられません。何せ彼女はアイドルであり、天使なのですから。
よからぬ視線からブーイングが聞こえてきそうではありますがあえて無視して進めましょう。やよいはすぐに洗濯物を洗濯機に詰め込み一つまみの洗剤をブレンドしてスタートをぽちっ。
まるで一日の始まりを告げるが如き音を聞きながら、掃除機を準備するやよい。その姿すら可愛いのは反則だと思うのですがいかがでしょうか?
「お休みで誰もいない今、徹底的にお掃除をするちゃんすっ! まずは玄関からだー!」
そうして玄関まで行ったはいいものの家用の掃除機で玄関を掃除するわけにもいかず結局外ボウキでせっせと履きだすやよい。その姿に吐き出しそうなくらいの可愛さを感じますね。
手馴れつつ妥協を許さない素晴らしい手腕にあっという間に玄関は塵一つない素敵空間へと姿を変えました。光が差す家とはまさにこのことでしょうね。
「この勢いで掃除機で廊下をお掃除スイッチオーン! ……あれ?」
コンセントが刺さっていない状態で掃除機についているスイッチをオンにしてしまうやよい。この姿だけで私はご飯三杯はいけますね。
その後はコンセントも刺して、順調に廊下、居間、それぞれの部屋、台所、トイレなどなどありとあらゆる場所を適したお掃除道具を駆使して綺麗にしていきます。
これならいつでもお嫁にきても大丈夫ですね。私も頑張らないといけません。
「うん、お掃除はこれくらいかな?」
ぐーぎゅるぎゅるぎゅー。やよいのおなかが悲鳴を上げています。これは大変です。
「そういえばお昼ご飯まだだった。つくっちゃおうーっと、とりあえずパンと目玉焼きで軽く済ましちゃおー」
そこのあなた。そこはもやしだろうとか思いませんでしたか? やよいだっていつももやしを食べているわけじゃないんですよ?
一週間、一日三食のメニューのうちの12回くらいしかもやしはでてきません。そんなことを言ってる間にトーストが出来上がり、半熟の目玉焼きが出来ました。
「トロトロのとか、固いのとかやらなくていいから楽ちんだーそれじゃ頂きます!」
いつもは弟や妹の分を最大限一人一人の好みに合わせて作るお姉ちゃんです。14歳でお姉ちゃん属性持ちとか卑怯ですよね。見た目は完全に妹というところがまた。
「ん~美味しいー! ……はい、ごちそうさまでした!」
一枚のパンに目玉焼きをぽんと乗せた遅めの朝食、もう昼食ですね、はすぐに胃に収まりやよいは次の作業に取り掛かります。洗濯物を干すのです。
今から干さないと家族のパンツや自分のパンツを見せるハメになってしまいますからね。心の芽生えたばかりの乙女心がそれをよしとはしないようです。
掃除も洗濯も終わり、やることがなくなるやよい。テレビを見るわけでもなく少しだけドキドキしていました。
「そういえば小鳥さんが言ってたこと、やらなくていいんだよね? うぅ~恥ずかしくてできそうにないしー……」
やよいが今日これから起こることを小鳥さんに話したところ、小鳥さんは「布団は一式でいいのよやよいちゃん! それが相手にとっても礼儀正しいことだから」と言われていたのです。
まったくダメな大人ですね。いいぞもっとやってください、仕事しないで下さい。
しかし、横で聞いていた千早さんが「嘘だから気にしちゃだめよ、高槻さん」と一蹴。小鳥さんは何故やよいスキーのあなたがこんな愚行を! なんて顔をしてました。
「でもその後いきなり笑顔で手をたたき合ってたし……なんだか『それだ!』みたいな顔をしてたし」
千早さんがその後にこぼした、勿論やよいには聞こえないように、「部屋も別々で寝ているのに、ドキドキして眠れない高槻さんの方が何倍も可愛いじゃないですか」と真顔で熱弁を振るい小鳥さんはそれに「それだ! さすが千早ちゃんは格が違ったわ!」と笑顔を交していたのでした。
「うぅ~わからないから考えるのはやめやめっ、そろそろ洗濯物も乾く頃だし、時間もないしアイロンかけてしまっちゃわないと」
行動しだすと早いやよい。リスのように素早く洗濯物をかき集めアイロンで綺麗に伸ばしていく。丁寧に、スピーディーにしわを伸ばす様は美しい母のようで。
全ての洗濯物にアイロンをかけて引き出しにしまっている。約束の時間まではまだあるようです、あるようだったのですが。
玄関からノックの音が聞こえます。事前に打ち合わせされていた通りのノックの音。ココココココン コココココンコン。キラメキラリ ずっとチュっと のリズムで叩かれた音。
「う、うそ!? まだその時間じゃないのに!? 三十分前に来るなんて聞いてないよー! どどどどーしよう!?」
慌てふためくやよいでしたが、ふと気付きます。いつまでも待たせておくのは失礼だと。大好きな人にそんなふうに思われたくはありませんよね?
だからやよいは駆け出して玄関の扉を勢いよく開けてこう言うのでした。
「す、すいません! 遅くなっちゃって! そ、そそれで今日は! 一緒にお留守番、よろしくおねいひまっ……しまーっす! プロデューサー!」
それに笑顔で応える憎いあんちくしょう。ああ憎たらしい。何が憎たらしいって。
机の上に一枚だけまだしまいきれいていない、やよいの下着にこの後お目にかかれるのが、ああ憎たらしい。
2012.01.01 Sun l 自作小説 l COM(0) l top ▲

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