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2012/05/24 (Thu) 最初で最後の自分の選択

オリジナル



僕は、大統領になれるはずだったんだ。
でもいつの間にか僕の周りを取り巻く環境たちがその道を閉ざしてしまった。
大統領って道だけじゃない。宇宙飛行士とか、歌手とか、小説家とか。
思い描いていたはずの夢とか希望の類があっという間に僕の手からスルりと抜け落ちていったんだ、だっけ?
もう覚えてすらいないあの日みた光景の残骸。どこで埋もれているのだろうか。
そんなことを数時間も考えていたら小鳥のさえずりが聞こえてきた。
飽きもせずに大体同じ時間、同じ場所、同じ鳴き声で憂鬱な朝を伝えてくれる。
カーテンの隙間からうっすらと明かりを帯びた空が顔を覗かせている。
僕にはそれが、哀れなものでも見るような嫌らしい笑顔の後ろに差している光にしか見えなかった。
遮光カーテンを買おうにも働きもしないでいる惨めな僕では到底、手が届かない。
いっそ引き裂いてしまえば怖くないのだろうか。そう考えて、明日の夜明け以降が地獄になると確信し僕は手を止めた。
代わりにつけっぱなしになったままのPCの画面に向き直る。
この世界では僕は王様だった。指導者だった。そして、大統領だった。
誰もが僕に従う。従わないものには厳しい罰を科せられる。夢のような、ゲーム空間。
だけどこの夢にも終わりの間の手が降りかかろうとしていたのだ。
無理な政策を押し進め、反逆するものは手当たり次第に粛清した独裁国家。そう長く続くはずも無い。
弱く、少数だった反逆者たちはやがて徒党を組み雑多な武器を持ち寄りついには国家を脅かす存在にまでなったのだ。
案の定、僕の国家は済し崩されて僕自身も殺されてしまった。
怒ることもなく、途端にやる気が無くなった大統領ごっこに嫌気が差してPCのモニターを殴りつけた。
廃棄物になってしまったモニターには目もくれずすぐ傍にあった、何日ものかはわからないジュースを手に取る。
ほとんど空に近いペットボトルを重力と真逆にして、中に入っていた液体を強引に流し込む。
味が分からない。中身が余程だったのか、自分の味覚が死に始めているのか。
しかしこれでもう飲み物も食べ物もなくなった。こうなっては外に買いに行くしかない。何せモニターは今やおしゃかで、PCをすることもできないのだから。
……いい加減、外で鳴き続ける小鳥の声が耳障りに聞こえる。
空になったペットボトルを持ち、滅多に開かれることの無いカーテンと窓を開けた。
電線の上に、雀がいた。
僕はその雀目掛けて、ペットボトルを思い切り投げつけた。
当然、よけられた。
そして、僕は泣いていた。
開け放ったカーテンの先は明るいはずなのに、今の僕の未来は何も見えなくて。
投げ捨てたペットボトルは、まるで僕がここまで来る間に捨ててしまった夢や希望と重なって見えてしまって。
僕にとっては大切な夢や希望の類をいとも簡単に避けて飛び去っていった雀が、僕をバカにし続けた社会人たちの姿と重なってしまって。
通学途中の高校生に笑われながらも、涙を止めることが出来なかった。

その時に僕は気づいたんだ。
周りの環境が大統領への道を閉ざしたんじゃない。
僕自身が、大統領への道を諦めたんだって。
夢と希望を投げ捨てていたんだって。
だから僕は最後に捨てた。
血と糞尿しか製造しない生産性の無い、自分の体を。

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Author:流ぬこ
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書いたり書いたりしている流ぬこです。
ピクシブなんかでも同じく流ぬこで書いています。
はじめの一歩を見るとオズマ戦でも小橋戦でもどの戦いでも泣けます。はい。

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