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ACAの続きです。
アイドルマスター(秋月律子メイン)×アーマード・コア(世界観)




ビィー ビィー ビィー ビィー
アラート四回。新たな任務のブリーフィングのための召集音だ。貧乏暇無し、いくらネクストに乗っているからといって私たちはまだ新米、新兵だ。実績のない傭兵を雇う依頼主は少ない。もし仮に雇うのであればどうでもいいような依頼か、ネクストのみを過信した依頼のどちらか二択だろう。恐らくは後者のほうが多い。それでも依頼金と弾薬補助が出れば言うことはない。こちらとしては暴れるだけだ。…今の私が暴れられるかは微妙なところだが、やれと言われれば出来るだろう。
『律子、起きたか?』
無線から聞こえるあの人の声。相変わらず安心できるそんな私のただ一つの清涼音声。その声に答えを返す。
「はい、先ほどのアラートで起きました。結構起きれるものですね」
『だな。身体の調子は、まあ全快ではないよな』
「ええ、完全復調ではありません。が起きる前よりは身体も軽いですよ」
『そうか。…一応依頼が来てるんだが、どうする?』
「どうするこうするも受けるに決まってます。売り出せるときを逃すのは愚の骨頂ですからね」
『だが…』
「アイドルとは勝手が違いますけど、私なら平気です。だから、受けましょう」
『…了解した。依頼内容の確認をするからすぐにブリーフィングルームまで来てくれ』
「わかりました」
無線を切り、自室を出る。酷く冷たい空気漂う無機質な廊下を歩く。自分の靴の音がカツンカツンと廊下の前へ後ろへ反響する。何となく、雪歩の曲を思い出した。あの生活感のない近未来的な曲。
「―――Kosmos,Cosmos 跳び出してゆく 無限と宇宙の彼方」
そう口ずさみながら私はブリーフィングルームへと歩いていく。あの時はこの歌がこんなに身近に感じるようになるとは露ほども思わなかった。何よりも、自分がネクストなんて機械に乗って戦争に身を投じるなんて考えもしなかった。
「…本当に、なんでこんなことに」
国家が解体されたあの日から、6大企業による統治が始まりありとあらゆるものが瞬く間に消えていった。765プロダクションもその例外ではなく、抵抗はしたものの争いを起こすことも出来ず潰れてしまった。大企業以外の企業はいらないとされ、961も876も潰されてしまった。今では企業はもうGA、BFFといった世界を統治している大企業しかない。多くの人々はコロニーという名の檻に閉じ込められ今も無気力のままに生きている。
廊下を進む私。永遠と鳴り響くカツンカツンという足音は秋月律子は死ぬまで永遠にネクストに乗って戦い続けるイメージを彷彿とさせた。
「まるで悪夢。でも、夢じゃないのよね。ほんと、悪夢だったらどれだけよかったかな」
独り言が止まらない。自分に話しかけていないとまた止まってしまいそうなのだ。この足を止めてしまったらもう二度と動けない気がして。だから私はずっと廊下を歩き続けた。

「秋月律子、到着しました」
「別にそんな畏まらないでも。立場的には律子の方が上じゃないか?」
「今ここでそれを咎める人はいませんよ。無気力が支配するこの世界じゃね」
「そうだな。……本当に体は平気か?」
「先ほども言いましたが、完全ではないです。けど、ネクストに乗るのには支障はありません。依頼を聞いてから判断しましょう」
「わかった。なら依頼を説明しよう」
 電気が暗くなり、ホログラムが表示される。当然、依頼内容だ。
「今回の依頼元はGA。先の律子の活躍でGAは俺たちの後ろ盾についた。そのGAがオーメル企業から攻撃を受けている。攻撃手段は大型潜水艦から発射される大量の自爆兵器だそうだ」
「自爆兵器のみですか?」
「何機かのノーマルの姿も確認したそうだが、撤退していったそうだ。自爆兵器だけで十分と踏んで帰った、という見解らしい」
 それほど今のGAは舐められている、ということなのか。後ろ盾としては少し懸念すべきことではある。
「自爆兵器は沖合いから発射場へと向かってくるとのことだ。俺たちはその沖合いと発射上の中間の地点で自爆兵器の迎撃にあたる」
「弾薬費の補助は?」
「弾薬費・機体損傷時の補填はなし。ついでに作戦時間に制限もない。簡単に言えば、お前の力をもう一度見せろ、ってところか」
「となると、弾薬費を抑えたいところですね。自爆兵器だけであればダメージは考えなくてもいい同然でしょうし」
「話によると、ネクストクラスの武装であればどの武器だろうと一発で爆破させることが可能だそうだ。ハンドガンであってもな」
「ミサイルやランチャーでの誘爆は?」
「それは無理だそうだ。同時に目標物に向かっていくことから、誘爆には滅法強いらしい」
 なるほど。となれば、今回の武器はほぼ決まった。
「ライフルとマシンガンをお願いします。弾単価が一番安く済むもので。あと予想兵器にハンドガンを一丁」
「そう言うと思って手配して、もう換装してある」
「何だ、初めから受ける気マンマンじゃないですか」
「あーいや、まあそうだな」
 明らかに目を逸らすプロデューサー。僕は怪しいですよと言っている様なものだ。一体何をしようとしていたのか。と、考えを巡らさなくてもわかった。
「自分で受けようとしてましたね?」
「そ、そんなことないぞ!」
「ならどうしてミサイルまで付いているんです?」
「い、一応予備にと思ってだな」
「自分が出て、万一ライフルとマシンガンで切り抜けられなかった場合、ミサイルを使用する、そう言った意味での予備でですか?」
「……はい、そうです」
 まったく、呆れた物だ。あれだけネクストにひどい目に遭わされて、まだ乗ろうとする気概が沸くとは。ああ、そう言えばよく伊織になじられて喜んでいたっけ。
「勝手な行動はしないでください。パートナー失格ですよ?」
「……面目ない」
「……プロデューサーまでいなくなったら、耐えられませんから」
「……悪かった」
「わかって頂けたのなら、大丈夫です。とりあえず兵装はこのままで。ミサイルとハンドガンを予備として、ライフルとマシンガンで何とか切り抜けてみます」
「了解、依頼の返答を返しておく。攻撃されるおおよそ時間から察するに、数時間後には出撃することになると思う。それまで体を休めててくれ、詳細が決まり次第知らせる」
「わかりました。では、失礼します」
 ブリーフィングルームから出た私は、その足でネクストの格納庫へと向かう。
 私が操る、操られている、ネクスト。
―――――『ヴァシーカーラハ』。グレーと白を基調としたツートンカラー。その隅々は傷や錆やで色が欠けている。
 この化け物に、私は搭乗している。これからも搭乗するだろう。吐き気がしてくる。
 だが、それでも戦わなければならない。そうしなければ、私がここにいる意味がなくなってしまう。みんなと別れてまで、ここで戦う理由が消えてしまう。
「それだけは、嫌」
 そう呟いて、私は『ヴァシーカーラハ』に背を向ける。どうせこの後出会うことになるんだ、そこまで凝視しなくてもいいだろう。
「まだ冗談が言えてる内は、平気かな」
 少しだけ自分に安堵しつつ、自室へと戻る。
 ミッション開始まであと数時間。何をしていようか。
 ……歌でも歌おうか。
 誰にも聞かれないまま、歌う歌。
 横たわり、死んでいく歌を。
「まるで、私みたいね」
 そう皮肉を言って、笑う。

 程なくして、私に出撃命令がでた。依頼は先ほど確認した通り、物量で押し寄せる自爆兵器の掃討。
 赤い赤い空。それ以外は何も見えない。空を赤く染めるの自爆兵器。洒落ている、と言うにはいささか物騒すぎる。
「ベースTYPE‐HOGIRE、右腕RF‐R100、左腕01‐HITMAN、右後RDF‐0200、左後MP‐0200I、右ハンガーGAN01‐SS‐WH.E……」
 AMS適正があるのであれば、誰でも使いこなせる万能中量ニ脚機体。またの名を器用貧乏。まるで私と同じ、それがこの『ヴァシーカーラハ』の現在の全て。
『律子、聞こえるか?』
「はい、武装も完璧ですね。ありがとうございます」
『ああ。ノーマルの姿は確認したか?』
「いいえ、今のところは空にミサを張って迎撃を免れている赤い靄しか見えませんね」
『大本から叩く、ができればだが今回は小物を蹴散らしていこう。そちらの後ろ手に見えているのが発射場だ。そこに向かう自爆兵器全て破壊してくれ』
「全てですか」
 汗が滲む。未だに慣れないこの死神の中。暑さではない、嫌悪からくる滲み汗。
『ネクストだからな。だが致命的な破壊さえ避けられればいいらしい、ある程度の火災は想定の範囲内だそうだ』
「簡単に言ってくれますね」
『ネクストは、そういう目で見られる。それはお前が一番わかってるだろ?』
「……ええ」
 嫌と言うほどに。ネクストに乗っていたからこそ、GAの後ろ盾を得た。ネクストに乗っていたからこそ、他の人達からは忌み嫌われる。低俗で、破格の交渉材料。
「こいつがいなければ、私は見向きもされない。ははっ、中の人は愛されないか」
『律子、平気か?』
「平気じゃない。そう言えばGAは許してくれますか?」
『……悪い』
「……ネクストに乗っているときはあまり喋りかけないでください。プロデューサーに、八つ当たりしてしまいますから」
『それくらいならべつに』
「来ました。自爆兵器第一波、赤い靄から出現を確認。これより迎撃に移ります」
『……わかった。万一もある、誘爆した際の爆発には気をつけてくれ』
「了解っ」
 無線が切れる。ここからは一人、もう優しさはどこにもいない。私と『ヴァシーカーラハ』が誰にも祝福されない、死の舞を踊るだけ。
「上等よ」
 クイックブーストでこちらからも自爆兵器に近づく。作戦エリア内で破壊しなければならないため、定位置に陣取ったまま、もし迎撃が間に合わなくなった場合、致命傷になりうる。それは避けなければならない。ならどうするか。
 こちらから間合いを詰めればいい。……射程距離、自爆兵器ごときの爆発ならネクストにはそよ風のようなもの、ようなもの。なのに。
 どうして私はこんなに震えているのか。こんなに恐れているのだろうか。
 この無機物は何かを破壊する物。殺す物。殺意すら込められていない兵器。そう考えるだけ震えが堪らなく、止まらなく。
 歯軋りが聞こえる。誰のか。私のだ。両肩を抱いている。誰のか。私のだ。
 怖い、怖い、怖い。
 嫌悪が。
 吐き気が。
 気持ち悪さが。
 頭痛が。
 体のアラートが鳴り止まない。どうすればいい、どうするのがいい。
 どうしたら
『律子っ!』
「……!」
 我に返った私の両の目には、空を埋めつくさんとする赤い光点が無機質に移動をしていた。
『まだ間に合うっ! 弾薬費は考えずにマシンガンとライフルをフルで使え! マシンガンが弾切れしたらミサイルに切り替えろ! そうすれば凌げる!』
「りょ、了解!」
 指示通り、照準もろくに定めないままマシンガンを連射する。無差別に飛び交う弾に被弾した自爆兵器が爆発する。それに合わせたかのように周りの自爆兵器も爆発する。
「誘爆!? なんで、しないって!?」
『どうやら、待ちぼうけしすぎたようだな。長時間潮風に当てられて、ある程度誘爆するみたいだ。悪くない誤算、体勢を立て直せるぞ!』
「わ、わかりました。後退しつつ迎撃を続け、後方で体勢を立て直します」
『……待て律子。よく周りを見渡すんだ。本当に自爆兵器は正面からだけしかきていないのか?』
 無論、それ以外には、どこにも……。
 あった。
 右方向、海面すれすれを進行する自爆兵器が少数。つまり正面は囮。こちらが本命。
「発見しました! 立て直す前に迎撃します!」
『よし、焦るなよ。その調子で破壊するんだ』
「はい」
 プロデューサーの言葉、アドバイスを聞いて我を取り戻した私は、冷静に自爆兵器を破壊していく。が、一つの集団を逃してしまう。
―――――第二番倉庫にて火災発生、至急非難せよ。
「くそっ!」
『落ち着け。二番倉庫に人はいない。あそこは廃材保管庫みたいなもんだ』
「……よかった」
『敵、潜水艦隊の撤退を確認。しかし自爆兵器は依然こちらに向かってきている。最終波の数は、ちときついぞ』
「ノーマル相手の方がよっぽどですよ!」
 またもクイックブースト全開で自爆兵器群に突貫。マシンガンの適正距離でない位置からはライフルで着実に爆破、自爆兵器群のど真ん中まできたらマシンガン連射。
 瞬く間に自爆兵器は爆発していく。
「これで、終わりっ!」
 最後の自爆兵器をライフルで撃ち抜き、爆発させる。
 そこらかしこで聞こえていた銃声と、爆発音がなくなり、暗い闇の中に私は佇む。
『全ての自爆兵器の破壊を確認。何個か見逃したが、重大な損傷は受けてない。作戦は成功だ。そのまま帰還してくれ』
「りょう、かいです」
 任務が終わる。体が重い。よくこんな体で操縦していたと思えるほど、鉛の如く。
 だがこんな静寂に身を置いていたら、狂ってしまう。
 早く、早くプロデューサーに会いたい。あの人がいなければ今回の依頼も危うかった。
 だから、私を助けてくれた、助けてくれるプロデューサーに会いたい。
 会って、救われたい。
 助けて、もらいたい。
2012.08.10 Fri l 自作小説 l COM(0) l top ▲

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