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「やよいっ!?」
兄ちゃんはすんごいギョーソーで叫んだ。でも固まってたのは一秒だけ、すぐにミキミキからイシキのないやよいっちをうばって抱え上げる。
「亜美任せた! 締めて落とせっ!」
亜美の方を見もせずにそんなムチャを言って、ステージから走り降りてく兄ちゃん。マイッタな、マイッタね。
「まあ亜美はこれでも元トップアイドルなんだし、任されちったから」
やよいっちに何かあったら兄ちゃんが必ずインカムで教えてくれるって信じるよ。んで、早くシめてオトして追い付かなきゃ。

りっちゃんとはるるんにたくさん助けてもらった。マンジョーのハクシュとセーエンに手を振り返しながら、私はちっさな声でインカムに聞いてみる。
「兄ちゃん、やよいっちはダイジョブ? 兄ちゃんじゃなくてもいいや、ダレでもいいから教えて」
『亜美ちゃん大丈夫だから落ち着いてね。やよいちゃんは無事よ。ただちょーっと疲れが溜まってたみたい』
インカムからはぴよちゃんの声が。そっか、ダイジョブか。よかった。
『やよいちゃんは西側の救護室にいるわ、亜美ちゃん向かってもらえないかしら? 場所はわかる?』
「西だね? ダイジョブだよ」
私はローカを走ってく。あれれ、そー言えばナンデ亜美だけなんだろ? やよいっちが倒れちったのに、いおりんとか千早お姉ちゃんとかはいいのかな?
「ま、いっか」
私はキューゴ室ってプレートの付いてるドアのない入り口をくぐった。パパみたく白衣来たパパの倍くらい体重ありそなお医者さんがイスに座ってる。
亜美がエシャクするとでぶっちょのお医者さんはぶよぶよなアゴをしゃくった。あ、あっちね。亜美はも一度エシャクして、今度はノックしてドアを開ける。
「兄ちゃん、やよいっち、いる?」
ほとんどムセー音で聞いてみた。ヘンジはないたたのシカバネってエンギでもないね? いやいやちっとドーヨーしてるんだよ亜美は。
兄ちゃんがいた。ベッドに横たわるやよいっちのおデコをなでていた。その笑顔がトーメイでヤサシクて、ナンて顔をしてるんだろって亜美は思った。
それは娘にゼッタイのアイを注ぐお父さんの顔で、お母さんをウタガうことなんてそもそも知らないちっさな男の子の顔だった。
「亜美か。ライブ、うまくいったか? 悪かったな抜け出しちまって」
兄ちゃんはやよいっちの方を見たままで聞いてきた。亜美はうなずく。
「そっか、良かった。こっちも大丈夫だぞ。過労だって医者が言ってた。点滴が落ち切るまでには目を覚ますってさ」
兄ちゃんはやっぱりこっち見ないまま続ける。
「うん、ぴよちゃんが教えてくれたよ」
私は答えた、兄ちゃんの横顔に。私と兄ちゃんはタシカにカイワしてるのに、シセンは一度も合わない。私は兄ちゃんを見ていて、兄ちゃんはやよいっちを見ている。
イヤだな。兄ちゃんは亜美をスキだって言ってくれたのに、ナンて考えてる私がイヤになるよ。でも、
「ねえ、兄ちゃん」
でも、オサエえられないよ。亜美の中で黒いモヤモヤが生まれる。黒いモヤモヤが広がる。
「何だ、亜美?」
兄ちゃんが言う。兄ちゃんが聞き返してくる。やよいっちをやヤサシクなでながら。
「兄ちゃんは、ナンで亜美をスキって言ったの? ドーシテ亜美を選んだの? 兄ちゃんは、ホントは」
亜美は歯をカミシメていた。奥歯がキッて鳴る。
「やよいっちを、やよいっちの方を、スキなんじゃないの?」
ああ、聞いちったよ。亜美は聞いちゃった。サイテーだ、亜美は。トーメイなシセンをやよいっちに向けたままに兄ちゃんは答える。
「ああ、俺はやよいが好きだぞ」
そのコトバに脳がちぢこまった。かちんこちんに固くなった。イタい、イタいよ。シメツケルよな頭痛がする。
「な、ならさ。ならナンデ、兄ちゃんは亜美をスキって言ったの?」
「亜美を好きだからだぞ。言わせんな恥ずかしい」
兄ちゃんのそくとー。やよいっちもスキで亜美もスキってどーゆーことなの? 私にはワカラナイ。
「…ワカラナイよ兄ちゃん。亜美にワカルように言ってよ」
セツメーしてよ兄ちゃん、ねえ。兄ちゃんは亜美の方をハジメテ振り向いた。
「俺は、やよいを家族と思ってるんだ。表裏無く隠し事無く付き合えている。家族だから、いっしょに支え合って行きたい」
うん、そーだね。家族ってそーだよね。そーでいたいよね。
「でも、亜美は家族に思えなかった。亜美は家族じゃないな、少なくとも今は」
セカイが、アンテンした。マックラになっちった。ドーシテ兄ちゃんはソンナコトを言うの? ドーシテ今さらソンナコトを言うの?
「俺はやよいのことは知っていると思っている。きっとわかりあえているし、満足している。亜美には満足していないな。亜美のことは知りたいって思うんだ。まだまだ知りたい。俺の知らない亜美を見たいんだ」
「…え?」
クーキョなココロにヒカリがさした、ような気がした。
「やよいとは支え合いたいと思っている。支え合えてるともな。だが、俺は亜美を」
もしかして、もしかしたら。亜美のマックラなセカイがちこっとだけ明るくなる。
「亜美を守りたいと思う。男のエゴ、大人のエゴだけどな。守っていきたい。今は家族じゃないけど、いつか、家族になりたいと思うんだ」
守りたい、亜美を守っていきたいって兄ちゃんは言った。言ってくれた。亜美といつか家族になりたいって。亜美のセカイに色がもどった。亜美のセカイがコガネイロにカガヤいた。
「俺はやよいもきっと異性としても好きだが、やよいはそれ以上に妹や娘なんだ。…たまに姉貴みたいだけどな。やよいも同じだと思う。俺をお父さんみたいだとか弟みたいだとか言ってたしな。まず何より家族なんだ」
兄ちゃんは座ってたパイプイスから立ち上がる。亜美の前で膝を着いて、亜美を抱きしめた。ああ、兄ちゃんだ。兄ちゃんの臭いだ。
「亜美とは、その、恋人になりたい。彼氏彼女になりたいんだ。亜美、俺の彼女に、なってくれるか?」
兄ちゃんのコトバに亜美はフルエる。ぶるぶるってね。ココロとカラダがカンキを歌う。ああ、兄ちゃん、兄ちゃん!
「モチの、ロンだよ。亜美は兄ちゃんをアイしてる。兄ちゃんも亜美を、いっぱいアイしてね…?」
亜美は兄ちゃんをちょっとだけ押しのけた。兄ちゃんのほっぺたに両手をあてる。
「目、とじてよ兄ちゃん…? デリバリーないんだから…」
「…それを言うならデリカシーだろが」
兄ちゃんが亜美の後ろアタマをおさえた。兄ちゃんの顔が近づいてくる。ちょっ、待ってよ兄ちゃん!
「あ…」
…亜美のファーストチッス、亜美は目をつむることができなかった。

しばらくして、やよいっちが目をさましたよ。兄ちゃんと亜美はやよいっちにゼンブ話した。ゼンブね。
「すまないな、やよい」
「あやまらないでくださいねプロデューサー。それって私にも亜美にもしつれーですよ」
兄ちゃんのシャザイにやよいっちは笑って返してた。
「いいんですよプロデューサー。プロデューサーの言ったとおりなんです。プロデューサーはプロデューサーだけど、家族みたいで。プロデューサーのことは好きだけど、もしかしたら恋ってもっとどきどきするんじゃないかなーって」
「そうか。そうかもな」
兄ちゃんはやよいっち前髪をくしゃくしゃってして、そのシュンカンのやよいっちのヒョージョーを私は見た。兄ちゃんの汗クサイ手のひらがやよいっちのアタマにさわったシュンカンの。
私はイッショー忘れないよ。やよいっちの見せたイッシュンのココロのスキを、イッシュン見せたスキのココロを。ゼッタイ忘れちゃいけないって思った。
「そ、それとね亜美、私はプロデューサーのお姉さんだから、亜美のおしゅうとめさんになるんだよ」
イッシュンのキノユルミに気づかれたことにやよいっちは気づいたのか、やよいっちはあわててそんなことを言ってくる。うん、まあそーかもね。
「お姉ちゃん、料理と節約にはうるさいからね。覚悟してよ」
「え」
ちょっとまって。やよいっちのカンカクでセツヤクって。
「プロデューサーにごはんおごってもらうのは、もうだめ。外食でおやつなんてもってのほかだからね」
そ、そんな。ルチアのガトーショコラは!?
「給食以外はちゃんと三食自分で作るんだよ。栄養のバランスも考えて」
って、毎食自炊? ガッコない日にシゴトがあったらお弁当ジサンってこと? 亜美はまだショーガクセーだよ?
「そんな顔しないの。亜美はプロデューサーのお嫁さんになるんだから、プロデューサーの健康も亜美が面倒をみなきゃいけないんだよ」
お嫁さんって! いや、なりたいけど、なるつもりだけど。
「はは、がんばれよ亜美。お前へのおごりがなくなれば、俺は出費が減って助かるぞ」
兄ちゃんが笑ってる。しょんな~。
「プロデューサーもですよ。今まで亜美におごってたぶんはちゃんと貯金してくださいね。あと三年と少ししかないんですよ。結婚資金、貯めないと」
「え、おい待てやよい。三年後って亜美が十六になったら結婚するのか俺たち」
ひょ、ひょえぇ! ナニナニやよいっちの中じゃそんなシナリオになってんの?
「亜美もっと真剣に! いい? かいしょうのある男性から売れてくんだから、これはって人は逃がしちゃだめ! しっかりつかまえとくの!」
ふーってまるでネコちゃんみたくやよいっちはサカゲを立てて。
「…ああ、姉とか妹とかじゃないな。これは、おふくろだ」
兄ちゃんがこぼした。そーだね、お母さんだ。しかもシタマチのキモッタマお母ちゃんだ。
「そうですね。私、二人のお母さんになりますよ。だって、私たち家族なんですから。家族になるんですから」
兄ちゃんはきっとグチを言ったんだろけど、やよいっちはおっきく笑ってた。いい笑顔だったよ。

もうちょっとだけ続くんじゃよ。なんちて。
あれから、時が流れて。私たちは少しだけ成長した。成長したはずだよ、たぶん。
はるるんは、ヒッシのドリョクがみのって国民的アイドルって呼ばれるようになったよ。あいかわらず歌も踊りもイマイチだけど、それがいいみたいでね?
好感度ランキング女性タレント部門でいっつも一位だ。ドラマやCMに引っ張りだこ。ああ、ニブチンのはるるんのプロデューサーにはまだコクハクできてないらしい。
ま、トーメンはムリっぽいね。
まこちんは、今も王子様街道まっしぐら、かと思いきやお姫様街道もマイシンチューらしいね。
まこちんの王子様もインハイのストレートでコクられちったら気づかないわけには行かなかったらしーよ。いつかお姫様抱っこしてもらうんだーって言って、毎日キタエてるらしい。
アイにはキンニクがヒツヨーなんだね?
ひびきんはアイカワラズだぞーって言いながらなんくるないさーって叫んでるよ。今は沖縄に帰ってるからアイドルカギョウはお休みしてるんだけどね。
お父さんとかセットクしになきゃなんだぞーとかなんてアイがなきゃできないよね。うんうん、ヨキコトかな。
ゆきぴょんはショートだった髪の毛を背中あたりまで伸ばして、まるで童話のお姫様みたいになっちった。ハカナクーてカレンーだってもっぱらウワサがされてるけど、その通り。
童話のお姫様のような、絵に描いたようなコイをしている、らしいよ? んっふっふ~、ダレかなダレかな?
いおりんは「水瀬伊織を全世界に布教しに行って来るわ」、っていうのをちょっとコンビニ行ってくるのノリで言ったきり日本では見てない。でもちょくちょくニュースとかで見るんだ。
水瀬伊織ヤクシンチューとかってね。そのソバにはいつものうさちゃんといおりんだけの大切な人がいるみたいだよ。
お姫ちんは、アイドルは続けてるんだけどフクギョーでラーメン屋さんをハジメちゃったよ。サイコーのらあめんを求めるあまり、ついには自分でセイサクすることを決めたみたい。
サイコーのらあめんを作るために、お姫ちんのプロデューサーとアイドルしながら全国を回ってるんだって。今じゃどっちがホンギョーかわからないくらいでさ。
りっちゃんはこっちもアイドル兼任でプロデューサー。プラス今じゃドクリツした事務所の女社長をやっているのだ。その豊満バデーにモノを言わせてぇ~!なんてことはしてないって。
だけど最近は自分のプロデュースで忙しいみたいだよ、亜美にも負けない式にしなくちゃねぇーなんて言って、オンナのカオをするようになった。
亜美もしてるかと思うとちょっちヤバいかも。
千早お姉ちゃんはいおりんと同じく世界へ羽ばたいたよ。今じゃどこでも歌を歌ってる、世界が認める、ううん、ゼンウチューが認める"スーパーアイドル"なんだって。
未だにアイドルって呼ばれてるのは千早お姉ちゃんのプロデューサーが、「そっちのほうが可愛いから」って押し通したみたい。でもまんざらでもない笑顔だったよ?
あのイチャイチャ写真はさ。
ミキミキの担当プロデューサーは765プロをやめちったらしい。なんでも、やめる時にりっちゃんにしこたま引っぱたかれて、んでも笑ってたらしいよ。
それを見てたミキミキは少しだけふっきれたーって言ってたけど、今でも前のミキミキみたいな輝きはない。
…亜美が、その輝きを取り戻せたらーなんて思ってたりするんだ。
あずさお姉ちゃんは結婚します~って言って、いっちばん最初に結婚しちゃった。今でもアイドルしてるけど、今年で引退するんだって。年も年ですから~って言ってた。
まあ実際はお腹の中に赤ちゃんがいるから無理しちゃだめだって理由らしいよ? でもあずさお姉ちゃんのわがままボデーを、なんて赤ちゃんも担当の兄ちゃんもうらやましいよねぇ。
真美は結局届かなかったなー、なんて言ってた。何に届かなかったかなんて、亜美にはわかるけどこればっかりは触れられない。フタゴであってもね。
でも真美はこう言ってくれたよ。おめでとう、だけど私の方がもっといい兄ちゃん君を見つけてくるかんね! とくと待たれよ! って。
ホント、真美はいつでも優しいね。
そして、やよいっちは、ね。
「亜美~。そろそろいいでしょー。もうみんな待ちくたびれてるんだから行くよー」
現在、私の前でゼッサンおっかさん中だったりする。いくつになっても化粧はしない、けどそれでも抜群に可愛いってヒキョーだよね。いや亜美だってそれなりに自信はあるよ?
でも化粧なしで芸能界一可愛い部門一位ってすごいよね? 今でもアイドル道まっしぐら。あれから数年もたったのに相変わらずステージで小動物みたいに駆け回って、飛び回ってる。
たまに家族じゃなくて、ペットかもなんて思ったりするけど、怒られてるときはやっぱりおっかさんだよ。おっかないんだー、これが。
掃除の仕方はこうだよーとか、お料理は手早くぱっぱとーとか、みずだしっぱはダメーとか、クーラーは使いすぎないーとか。
なんかもう、亜美のお母さんでありお嫁さんでもある感じだよね? しかも妹としても抜群の可愛さって、ちょっちズルすぎるよね?
うん、そんなわけでみんなのその後は終わり。しゅうりょ~、幕を下ろして~。
「いつまでも恥ずかしがってないの。いつもの亜美らしくしてればいいんだからー」
「…亜美にだって、ハズカシいことくらいあるよ」
…あはは、やっぱ亜美のことも話さないとダメ? 亜美は亜美のままだよ。そりゃ変わったとこもあるけどね。背も高くなったし、いろいろ女らしくなった。
兄ちゃんをユーワクして困らすのオモシロイし。でも、それも今日までだね。明日からはユーワクなんてしたらそのままイタダカレちゃうかもだし。
今日はね、そのー、結婚式だったりするんだよ、亜美のね。
「恥ずかしいって、そんなに綺麗なんだから恥ずかしいことないでしょ?」
やよいっちが言うのはモットモだよ? モットモだけどさ。
「こんなにキレイにされちったからこそ、みんなに見られるのがハズカシいんだよー。こう、カシコマリーの空気の中でマジメにやらないかって思うとさー」
「最高の晴れ舞台をネタに使っちゃってもいいの?」
やよいっちがフンって鼻で息。ヤバいヤバいよ、も少しで怒る。
「…いや、ダメですよわかってますよ? でも何ていうのかな? 亜美に流れているフタゴの血がウズクんだよ」
やよいっちは下目ヅカイで亜美を見た。そのままナニも言わずにドアの方に歩いてって。
「プロデューサー、亜美もう大丈夫なので入ってきてください」
「ちょ、ちょタン」
ちょ、ドア開けちゃったよ兄ちゃん呼んじったよ。ジツはもー怒ってる?
「入るぞー。…おお、こりゃまた。べっぴんさんになったもんだな」
「ア、あう、うあああうううあああ…」
な、や、兄ちゃんが見てるよ。私を見てる。ベッピンだってさ。亜美はベッピンだって。
「…やよい、今の何語?」
「わからないですけど、ありがとうってことだと思いますよっ」
不意打ちなんてヒキョーだよ! やっぱりにーちゃんはいつまで経っても変態さんだ! そもそもロリ確定の亜美に告白されて、それを了承するなんてところから変態だ!
…あれ? それじゃその変態を好きになっちった亜美も変態? ってことはやよいっちも変態だったわけ?
「ぷっ、ぷぷぷっ、あっははははは!」
「こ、今度は笑いだしたぞ? 結婚式の新婦ってのはおかしくなるものなのか?」
「ん~私は新婦になったことがないのでわからないですけどー、あずささんに聞いてみますか? それか近々結婚する律子さんにも」
「いんや~笑った。くっくく、まさか三人で変態だったとはねぇ」
「変態って、いきなり何を言い出すんだ?」
「いやいや、ロリロリだった亜美とホントウに結婚しちゃう兄ちゃんが変態で、その兄ちゃんを好きな亜美も変態で、好きになったやよいっちも変態で。そう思ったら笑っちゃって」
「ま、前はそうだったかも知らんが今の亜美はこんなに美人になったんだからノーカンでいいだろ!」
な、何をいきなりどこぞの主人公みたいなことを言うかねこの人は! そんな属性持ち合わせてなかったはずなのにぃ! …新郎になるとその属性が付与されたりするのかな?
「はいはい私の前で惚気ないでください。あんまり言うと大声で泣いちゃいますよー」
「わ、悪い」
「兄ちゃん、やよいっち見てごらん」
「えっ」
やよいっちは必死に口を押さえて笑いをこらえてる。モチロンナミダのケハイなんてゼンゼンなくて、ちょっとしたイタズラ心ってヤツかな?
とゆーか、前のやよいっちの方がもっと大人っぽくしてたと思う。でもちょっとイタズラ心あふれるやよいっちもミリキテキだよね。いっそやよいっちと結婚しちゃおうか?
「…あんまりからかわないでくれよ。こっちもいっぱいいっぱいなんだから」
「あはは、ごめんなさい。…プロデューサーは結局プロデューサーが抜け切れませんでしたね。ねえ、亜美?」
「…んっふっふー、そうだねやよいっち。結局兄ちゃんは兄ちゃんだったね」
「なんだよそれは? もうプロデュースしてやらんぞ?」
「これからもよろしくねぇ? 公私共々、んっふっふ~」
「さあ、時間が来ましたよ! 目一杯ウェディングロード、踏破してきちゃってくださいっ」
やよいっちが一歩引く。当然だ。やよいっちは、結婚しないんだから。結婚するのは、亜美だけだから。だって、兄ちゃんは一人だけだから。
私は、やよいっちの分も幸せにならなきゃいけない。ミタサレなきゃいけないんだよ。それが亜美と兄ちゃんのセキニンで、ギムなんだと思う。
うん、でもねやよいっち。双海亜美は、今はもう"双海"じゃないんだけど、いつだってごーいんぐまいうぇいってヤツなんだぜぇ?
後ろで手を振ってその場に残ろうとするやよいっちの手をがっちりきゃっち。そのまま連行するよ。
「ちょ、ちょっと亜美? いくら仲がいいからって私にはあそこを歩くのは許されないって」
「兄ちゃんは亜美と結婚する、亜美も兄ちゃんと結婚する。でも亜美はもう一人と結婚するよ。やよいっちと、結婚するよ」
「いやいやその理屈はおかしすぎるだろ?」
「そうだよ亜美! 私は二人の記念に邪魔をするようなことしたくなんか」
「兄ちゃん、だめかな? あのウェディングロード、三人で歩いて、三人のミチシルベにしちゃだめかな?」
「俺は、構わないが…」
「プロデューサーはもっと反対してくださいよー! ちょっと、ホントに!?」
「モチのロンだぜ! さあ、行くよ! 兄ちゃん! やよいっち」
「あれ、なんで俺が嫉妬してるんだ…?」
私の右手には兄ちゃんが、左手にはやよいっちが。ちょっとわがまますぎるよね。ジコチューすぎるよね。だけど、
「ねえ、やよいっち。それに兄ちゃん」
「な、なに?」
「ん?」
「イマ、亜美たちは、ミタサレてるかな? 心の底から笑いあえて、心配しあえて、怒りあえて、ミタサレているのかな?」
ずっと、一人で思っていたカンジョウ。それを誰かに聞いてみるのはハジメテで、だけど答えなんてもうわかってるんだ。
「…うん、私は満たされてるよ」
「俺も、満たされまくってるぞ。あと、嫉妬しまくってる」
「そっか。…ようし! 結婚式場にナグリコミだー!」
「ホントにいくのー!?」
「あれ、もしかしてむしろ俺が邪魔!?」
離れ離れになってしまった亜美たちの手。今じゃこうしてまた繋いでいられる。それどころか、三人でウェディングロードに殴りこみだなんて。
はるるんは驚いてこけちゃうかな?
まこちんは笑いながらがつーんと手を前に突き出してくれるかな?
ひびきんはなんくるないさーって言ってくれるかな?
ゆきぴょんはあわあわしてくれるかな?
いおりんはうさちゃんを抱きながら呆れるかな?
お姫ちんはいつもドーリに面妖な…って言うのかな?
りっちゃんはハリセンもってツッコンでくれるかな?
千早お姉ちゃんはクサクサしてくれるかな?
ミキミキはあふぅって言いながら寝ちゃうのかな?
あずさお姉ちゃんはあらあらうふふ~って言いながら祝福してくれるのかな?
真美はもしかしたら一緒に歩いちゃうのかな?
やよいっちはあたふたしちゃうのかな?
兄ちゃんは、あなたはスネちゃうのかな?
亜美は、亜美はね。

「亜美は、とっても幸せだー!」
「あ、亜美っ? どうしたんだ?」
「…私も、ちょっとだけ悲しいこともあったけど、今はすっごく幸せだあー!」
「お、おお!? お、俺もっ! いろいろ情けないこともあったけど、今は世界で一番幸せ者だぞー!」
「やよいっち、兄ちゃん、大好きだー!」
「プロデューサー、亜美、大好きだよー!」
「亜美、やよい、大好きだぞー!」
「「それは、ちょっと…」」
「何でだよっ! ちっくしょー!」

そうして私たち三人は、手を繋いで、式場に殴りこんだ。
笑顔で。














高槻やよいです。
双海亜美です。

フラレちゃいました。
コクられちゃいました。

だけど幸せです。
だから幸せです。

それじゃ、亜美?
うん、やよいっち?

せーの。











「私たちは、ミタサレてる。私たちは今、心の底からミタサレているよ」
2012.12.25 Tue l アイドルマスター l COM(0) l top ▲

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